Mozart: 225 The New Complete Edition (その3)

昨日は、Mozart225の楽曲(CD)の配列について感想を述べた。
今日は収録演奏について。

前に書いたように、この全集のウリの一つが、"70% of recordings different from 1991 Philips Mozart Edition"で、実際、私が持っている演奏とまるごと、つまりそのジャンル全体がぶつかるものは一部の例外を除いてない。同じ演奏でも家にあるのはLPだったりするわけで、全く同じものが揃うということでもない。
Trevor_Pinnoch_English_concert.jpg

例外というのは、舞曲と行進曲で、これは、もともと「舞曲と行進曲全集」としてLPのボックスを買っていたものと同じ上、同じ演奏が、後のLPでの全集、前のCDでの全集、そしてMozart225にも収録されているから、私は4つめになる。演奏者ボスコフスキー/ウィーン・モーツァルト合奏団(実態はウィーン・フィル団員)だけが、録音を出していて、全集に納めようとすれば、この演奏になるわけだ。
同じようなものは、メサイアの編曲(KV572)もそうで、これも同じ理由でまともに衝突する。
単体としては、内田光子のピアノ協奏曲とか、ピリスのピアノソナタとか、重なるものもチラホラあるけれど、この全集は1枚300円もしないわけで、10枚ぐらいダブっても3000円程度、割安だから許容できる。

こうなったのは、Mozart225は、近年の風潮であるピリオド楽器による演奏を積極的にとりあげていて、新しい録音が多いからだと思う。
academy-of-ancient-music-in-derbyshire-1379601052-view-0.jpg 実際、交響曲は、
  • 初期交響曲は、ピノック/イングリッシュ・コンサート、ところどころ(主に番号のついてない交響曲)ホグウッド/エンシェントの演奏、
  • 中期のものは、ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、
  • 後期交響曲は、ピノック/イングリッシュ・コンサートとブリュッヘン/18世紀オーケストラ
の演奏が収録されている。いずれもピリオド楽器が使用されるものである。前の全集だと演奏者は、録音がないという事情がなければ、同じ演奏者で揃えていたけれど。

Gardiner_Baloque_soloists2.jpg 全く同じ演奏が、既に持っているものとダブるのは比較的限られていたわけだけれど、なんと、Mozart225は、同一曲について複数の演奏が収録されている。
前からもっている2種類の全集もそうだけれど、全集というのは、同じ曲を重複して収録しないと思う。あったとしても、編曲などバージョンが複数ある場合である。(前のCD全集は、全巻購入者には、フィガロがもう1つの演奏が付いてきたが、これはオマケとして。)
しかし、Mozart225では、いわゆる有名曲は、いくつかの演奏が収録されている。

Bruggen_18th_century.jpg 40番KV550は、なんと4種類もの演奏が収録されている。それも全曲だから、KV550だけで2時間あるわけだ。
  • Orchestra of the 18th Century/Frans Brüggen
  • Les Musiciens du Louvre/Marc Minkowski
  • Camerata Academica des Mozarteums Salzburg/Sándor Végh
  • London Symphony Orchestra/Benjamin Britten
このうち2番目のMinkowskiの演奏は、モーツァルト自身による編曲版(クラリネット版)による。

メインに位置づけられているのはブリュッヘン/18世紀の演奏で、これ以前の39番まではピノック/イングリッシュ・コンサートをおしのけて収録されたような観がある。(実は、ブリュッヘン/18世紀は別に持ってるから、ピノック/イングリッシュ・コンサートがあるなら、そっちを収録してもらいたかった)
他の演奏は、"Supplementary performances"、"Classical performances"という小カテゴリーに入れられている。メインはピノックやブリュッヘンだけれど、昔から名盤とされている演奏も収録した、というわけである。

ちなみに41番KV551は2種類、39番KV543は3種類の演奏が収録されている。KV543は、ベーム/ベルリンという懐かしい(LPで交響曲全集を持っている)ものも収録されている。

特別な協奏曲KV595も4種類の演奏が収録されている。
  • Malcolm Bilson fortepiano, English Baroque Soloists/John Eliot Gardiner
  • Emil Gilels piano, Wiener Philharmoniker/Karl Böhm
  • Maria João Pires piano, Orchestra Mozart/Claudio Abbado
  • Clifford Curzon piano, English Chamber Orchestra/Benjamin Britten
Bilsonのは、fortepianoと記載されているように、古楽器が使われている。そしてこれがメインに位置づけられている。(このなかでは、ギレリス、ベーム/ウィーンはLPで持っている。ピリスは別のオケのものを持っている。)

自己保有のものとのダブりはともかく、有名曲はいろんな演奏が聴けるということは全然悪いことではない。
最も有名なピアニストだけどモーツァルトも弾いてたのかといホロヴィッツとか、家にあるのはLPばかりで最近聴かなくなったハスキルやヘブラー、骨董的演奏のブリテン、これはこれで楽しみである。

一方、すごいことになってるのが、歌曲(リート)。
歌曲もおおぜいの歌手が録音をしているわけだけれど、Mozart225は誰を選んだのだろう?

・An die Freude K53 Prey/Klee ・Das Lied der Trennung K519 Schreier/Schiff
・Oiseaux, si tous les ans K307 Bartoli/Thibaudet ・Als Luise die Briefe ihres ungetreuen Liebhabers verbrannte K520 Ameling/Baldwin
・Dans un bois solitaire K308 Ameling/Baldwin ・Abendempfindung an Laura K523 Brueggergosman/Zeyen
・Verdankt sei es dem Glanz der Großen K392 Ameling/Baldwin ・An Chloe K524 Holzmair/Cooper
・ [An die Einsamkeit] K391 Mathis/Klee ・Des kleinen Friedrichs Geburtstag K529 Mathis/Klee
・ [An die Hoffnung] K390 Schreier/Schiff ・Das Traumbild K530 Holzmair/Cooper
・Die Zufriedenheit K349 Ameling/Ludemann (mandolin) ・Die kleine Spinnerin K531 Ameling/Baldwin
・Komm, liebe Zither, komm K351 Ameling/Ludemann (mandolin) ・Beim Auszug in das Feld K552 Blochwitz/Jansen
・Ah! spiegarti, oh Dio, vorrei K178 Mathis/Klee ・Un moto di gioia K579 Stader/Demus
・Der Zauberer K472 Mathis/Klee ・Sehnsucht nach dem Frühling K596 Mathis/Klee
・Die Zufriedenheit K473 Prey/Klee ・Im Frühlingsanfang K597 Schreier/Schiff
・Die betrogene Welt K474 Holzmair/Cooper ・Das Kinderspiel K598 Mathis/Klee
・Das Veilchen K476 Battle/Levine ・Das Kinderspiel K598 Alternative performances with fortepiano Prey/Demus
・Lied der Freiheit K506 Schreier/Schiff ・An Chloe K524 Von Otter/Tan
・Die Alte K517 Mathis/Klee ・Das Veilchen K476 Baker/Leppard
・Die Verschweigung K518 Schreier/Schiff ・Abendempfindung an Laura K523 Baker/Leppard

なんと、12人の男女の歌手(伴奏違いを数えたら14組)が顔をそろえている。まるでカタログである。
もとの録音は、おそらく曲の順序も考えて行われたものだろうけれど。

Mozart225には、多数の演奏家が収録されている。
これも、Mozart225のサイトに掲載されている。

多くのモーツァルティアンは、たいていの曲は誰かの演奏で聴いているだろうから、こういう複数演奏家の録音を聴くことも一興と考えていると思う。そう思えば、この企画も納得できるものだ。

将来、「モーツァルト全録音」などというセットが出たりして。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

Gallery
検索フォーム

⇒記事一覧

プロフィール

六二郎。六二郎。


定年退職
苦しい家計の足しに再就職
=いつクビになってもええねん
 言うたもん勝ちや!のブログ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
アーカイブ
カテゴリ
タグ

書評 ITガジェット マイナンバー Audio/Visual 

現在の閲覧者数
聞いたもん