「高齢者」は数の問題かな

昨日とりあげた提言は「65~74歳には元気な人が多いから高齢者というのは時代にあわない」とのことだけれど、それだけなら提言の必要はないだろう。
本当の問題の所在は、65歳以上が多くなったから、従来の高齢者施策が成り立たなくなることだろう。

元気な高齢者は、ずっと頑張ってもらえば良い。
昨日も書いたが、天海僧正107歳、北斎90歳とか、元気な年寄りは昔からいる。
奈良時代だと、天平11(739)年、出雲国には、90歳が2人、80歳が5人という記録が残っているそうだし、律令では「70歳から致仕を聴す」とあるものの、元気な人はいつまでも働いたらしい。藤原頼通は76歳まで関白を務めている(83歳で没)。


survival_curve_comp.jpg 昔は平均寿命が短かったといわれるけれど、それは、みんなが若死にしたという意味ではない。
平均寿命が短かく計算されるのは、
  • 乳幼児の死亡率が高かった
  • 出産時(産前産後を含む)の女性の死亡率が高かった
という状況を反映している。

乳幼児の死亡率が高かったことが平均寿命を下げているということは良く知られている。

モーツァルトは6人の子供をもうけたが、成年に達したのは2人にすぎない(もったいない!)。

もう一つの出産時の女性の死亡率が高かったことは、中宮定子や葵の上など、歴史や物語的に印象づけられているわけだが、実際、第1回完全生命表(1891~1898年)を見ると、30歳超あたりで、女性の生存率が男性より低い年齢が見られる。出産にかかる死亡が影響しているものと推測される。

hitowakoushitefuetekita.jpg 大塚柳太郎「ひとはこうして増えてきた」という本に、旧石器時代の生存曲線が掲載されていたので、近現代のものと比べてみようと思った。

利用する元データは統計局のページにある完全生命表

生命表は男女別になっているので、旧石器時代の生存曲線と比較するために、出生性比を105.1として全人口に対する生存曲線を計算している。


こうして、各時代の生存曲線を並べて見ると、2010年になると本当に生存率が上がっていることがわかる。図には示していないけれど、ここ十数年は同じような曲線になっている。明治時代は、まだまだ乳幼児の死亡率が高かったことが良くわかる。

ところで、大塚氏の本は、人類史を俯瞰できて、なかなか良い本だと思った。
同書では、人類史を4つのフェーズに分け、さらに各地域に分けて分析されている。

人類誕生のフェーズ(20万年前=5000人?)、出アフリカして世界に「移住」するフェーズ(7万年前=50万人?)、定住生活をはじめ、農耕・牧畜を発明するフェーズ(1万2000年前=500万人、5500年前=1000万人)、産業革命と人口転換(多産多死から少産少死へ転換する)フェーズ(265年前=7億2000万人)。そして現代(2015年=72億人)である。

ふと思う、本当に地球はどれだけの人口を養えるんだろうか。
このことにも触れられている。根拠は曖昧なようだが、120億人。これが国連人口部の最大予測値だそうである。


曲江   杜甫
 朝囘日日典春衣
 毎日江頭盡醉歸
 酒債尋常行處有
 人生七十古來稀
 穿花蛺蝶深深見
 點水蜻蜓款款飛
 傳語風光共流轉
 暫時相賞莫相違
 勤め終えれば質屋に通い
 飲み屋に毎日入り浸る
 酒屋のつけも一杯あるが
 どうせはかない人生だもの
 花に群がる蝶々を眺め
 水面を滑るとんぼと遊ぶ
 光あふれる都の野辺に
 しばしの春を楽しまん
http://www.rinku.zaq.ne.jp/bkcwx505/Kanshipage/KanshiNo7/kanshi89.html

奈良時代に70歳以上は、それこそ古来稀なりだから、致仕年齢を、高齢者の数で決めたはずはない。

「古希」というのは、杜甫の「曲江」という漢詩から出たそうだが、その趣意は、70まで生きられるはずもないから、今日を楽しもう(酒屋のつけも払わない?)、ということらしい。


年齢だけで高齢者施策を考えるのではなく、年齢プラス所得や資産、健康状態などを考えあわせた施策が必要だということなら、それはそれでわかる。

それにしても、年金は75歳からというのは、つまり長生きできたら年金がもらえるというのは、次の世代以降にしてもらいたいものだ。

そして75歳以上だったら、遊ぶ金もたいしていらないだろうと減額したり、医療費の補填に使うという話が出てくるんだろうな。


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