定年後の再雇用

「高齢者」シリーズを書いてきたら、以前の報道を思い出した。
「定年後再雇用」の賃下げめぐる控訴審、
従業員が逆転敗訴「賃金差別、納得いかない」
定年後に嘱託職員として再雇用されたトラック運転手3人が、「正社員と同じ仕事なのに賃金格差があるのは不当だ」と訴えた裁判の控訴審判決が11月2日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は、原告の訴えを認めた1審判決を取り消し、請求を棄却した。原告側は上告の意向を示している。
判決文などによると、原告3人は横浜市にある運送会社「長澤運輸」に正社員として勤務。2014年にそれぞれ定年退職した後、同社に有期雇用の嘱託社員として再雇用された。正社員と同じ仕事内容にもかかわらず、賃金を3割近く引き下げられたとして、同年提訴した。
1審の東京地裁は今年5月、「仕事の内容は正社員と同一と認められる。特別な理由もなく、賃金格差があるのは違法だ」として、会社側に対して、正社員と同じ賃金を支払うよう命じた。
2審の東京高裁は、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁じた「労働契約法20条」が、定年後の再雇用にも適用されると判断。一方で、今回のケースについては、定年前と比較して、一定程度賃金が減額されることは一般的で、社会的にも容認されていると考えられるなどとして、「不合理であるとは言えない」と原告の請求を棄却した。
弁護士ドットコム 11/2(水)

定年後再雇用で、以前と同じ仕事をしているのに、給料が大幅に減ることの是非である。
一審の原告勝訴の報道を目にしたとき、裁判所の判断の是非はともかく、雇用主側は大変だなぁと思った。これが前例になったら、好意で定年後再雇用をしているところは困るだろうなぁと。

「同一労働・同一賃金」という理念もあるから、雇用主は同じ仕事をさせて、同じ給料を払うのをためらうかもしれない。
かといって、慣れた仕事をしてもらうほうが生産性も高いし、雇われる側も、普通はそのほうが嬉しいことが多いだろう。
なんとかして差をつけるとすれば、責任の所在とか、後輩の指導といった、曖昧な職務をはずして、なんとか体裁をつくろって、安い給料で雇おうとするかもしれない。

そんなことを考えていたら、二審では逆転し、再雇用の給料が下がるのはアタリマエ(一般的)と容認してしまった。

現状容認が法理になるなら、裁判所の役割って何だろう。ホンネが社会的影響への配慮で、それで逆転判決を出すにしても、もうちょっと理屈を考えるべきじゃないだろうか。


「同一労働・同一賃金」という理念があるけれど、この理念は必ずしも現実世界で通用するとは思えない。

もちろん性差別や人種差別など、社会的差別を撤廃させるための理論としての意義は否定しない。

まず、日本の労働慣行では、年功序列賃金のところが多くて、若い頃は安い給料で働いて、同じような仕事をしていても、年功で給料が上がる。とすれば、当然、定年退職前には、しかるべき給料より高い給料をもらっていることになるかもしれない。若いものから搾取して、年寄りがその分を受け取っているという構造である。

もちろん会社側は、単純に「年功」とは言わない。経験を積めば、仕事に習熟して生産性が上がる。さらに経験を積めば若手を指導する仕事もする、という理由づけをすると思う。そして、管理職ともなれば、責任も重くなるから給料が上がるのは当然である。しかし再雇用では管理職から外せば、管理職分は給料を下げることもできる。(高裁もそう言ったらよかったのでは)


それと「同一労働」というのは、なかなか難しい。
同じ時間働いても、成果の出るやつ、出ないやつがいる。営業などで相手が違うというような場合ならともかく、デスクワークで、まったく同じこと(たとえば文書整理とか)をやっていても、てきぱきやる人もいれば、もたもたする人もいる。
もっと難しい仕事、企画書を作るというようなことになると、その差は歴然とする。管理職だって邪魔になるだけの管理職なんていっぱいいるだろうし。
何をもって同一労働と言えるのだろう。

会社には儲ける側(経営側)と搾取される側があって、正社員は経営側にいて、それ以外の人は搾取される側にいるということになってきたのかもしれない。

利害が対立する労働者は団結しない。
昔、共産主義では、「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」って言ってたんだけどなぁ。

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