日本の税金:新版

昨日の記事では、e-Taxできちんと確定申告を行い、不足額を追加納付することを書いた。

税金をきちんと払うのは、揶揄で言うのではない、国民の義務である。

今日は、税金についての本の書評、確定申告をするちょっと前に読んだ三木義一「日本の税金:新版」について。

この本の序章は「私たちは誰のために税を負担するのだろう?」というタイトルが付いているのだけれど、まずはじめに、「税法は法律の中でももっとも難しいものの一つで、弁護士もほとんど知らない。その難しい法律の内容を正確に理解して、様々な項目の計算をした上で初めて税額が出てくる」と前置きして、こんな一節がある。
間違えて税額を少なく申告すると加算税という制裁が課される。有利な制度があることを知らないために税額を高く計算して申告したら、税法を知らなかったお前のミスだから救済はしないと言われる。計算に誤りがあった場合には、申告期限から一年以内に限って減額してくれる。しかし、一年以上過ぎてからわかった場合はダメだ。ところが、税務署には五年間も減額する権限はある。そこで、税務署に「嘆願書」を出して、嘆願すれば、助けてやらないわけでもない、と言われる。まるで江戸時代の農民がお代官様に嘆願しているようだ。
nihon_no_zeikin_sin.jpg まぁ、国民は踏んだり蹴ったりの眼に合わされるというように書いてあるのだけれど、これに続けて、国民主権の時代であり、税制の枠組みもまた国民が(代表を通じてだが)決めるようになっていると続ける。
もちろんそんな実感はない。やっぱり税金は盗られるものというのが普通の感覚。

知り合いの役人がこんなことを言っていた:

税法には目的は書かれていない。


普通、法律には制定趣旨や目的が最初に書かれている。ある本に書かれていたことだけれど、具体的な法適用について解釈に困ったときは、趣旨・目的に沿って考えるべきだという。税法にはそれがない。

もちろん法案が出るときには目的があるのだろうけど、条文には書かれないという意味。
また、目的を書くと目的税と誤解され、使途が限定されるおそれがあるのかもしれない。しかし、何に使うかではなく、課税の論理として考えれば良いのではないだろうか。福祉目的税を作ったとしても、一般財源からその分が減額されるだけの玉突きになるのが関の山なわけだし。


本書でも例として取り上げられているが、印紙税というのがある。契約書などに貼るあの証紙である。
これを貼らなければ脱税となって処罰の対象になるけれど、貼らなかったからといって契約が無効になるというようなことはない。貼ってもなんのご利益もない。
一体、印紙って何のためにあるの?
答えは、税金をとるためである。

序 章私たちは誰のために税を負担するのだろう?
第1章所得税-給与所得が中心だが給与所得者は無関心
第2章法人税-選挙権がないので課税しやすい?
第3章消費税-市民の錯覚が支えてきた?
第4章相続税-自分の財産までなくなる?
第5章間接税等-税が高いから物価も高い?
第6章地方税-財政自主権は確立できたのか?
第7章国際課税-国境から税が逃げていく
終 章税金問題こそ政治
それはさておき、本書は大変良い本である。
国民が自分の権利と義務を考える上で、税金というフィールドで考えることが、もっともわかりやすいと思う。そのことが各税の枠組みが具体例を交えて説明されている。

たとえば、一部の金持ちや貧乏人でも税法を誤解している人の批判の的になる累進課税でも、所得の再分配効果が期待されているわけで、批判するならその効果を吟味しなければならない。

思うに、富というのは「マタイ効果」があって、同じだけの努力をしたとしても、生まれや運で少しの差がついたときに、富の蓄積は増幅されてしまうものである。そしてそのことが固定化すれば、国民の間に不公平感が蓄積し、結局は安定を欠いた格差社会になってしまう。つまり、課税の理屈も、その効果も、誰もが納得できるものだろう。

一方で、印紙税がそうじゃないかと思うのだけれど、税をとることを目的としたんじゃないかという税もあるようだけど。

税を盗られるものと考えていては、正しい税のありかたを考える主権者にはなりえない。

だから源泉徴収で税について考えないようにしているという見方もあるようだけれど。


以前、ある市の市長さんが、障碍者の方から、(今までいろんな優遇を受けてきたけれど)、ようやく税金を納めることができるようになったと嬉しそうに報告していただいた、という趣旨のことをしゃべっていたことを思い出す。

ところで、今まで意識してなかったけれど、地方税の税率は自治体によって違う。地方税法が定めるのは標準税率で、各自治体はその1.5倍までは独自の税率を定めることができる。
軽自動車税については、実際、標準税率の1.5倍(上限いっぱい)の自治体があるらしい。

で、思ったのだけれど、税率を安くして、他自治体住民の軽自動車の登録を引き寄せれば、トータルで増収になるんではないだろうか。
タックス・ヘイブンというか、リベリア船籍の船というか。ふるさと納税が、変な歪みを起していると批判されているから、それに代えてどうだろう(宣伝したら絶対批判されると思うけど)。

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