集団的自衛権問題とは何だったのか?

今日は憲法記念日
このところ多い記念日ネタ。

前に“「戦後80年」はあるのか”という本を紹介したところだが、そのときは内田樹「比較敗戦論」だけをとりあげた。今日は、憲法記念日に事寄せて、同書にある
木村草太「集団的自衛権問題とは何だったのか? ―憲法学からの分析」について。

C8hX2Z5VoAAzefL.jpg 木村氏は、テレビのニュース番組にもたびたび登場していて、いかにも法律学者らしい、法体系を基準とした解説ぶりが印象的である。
本書でも、その基本スタンスは崩していない。つまり法体系を基準として論理的に解説される。
すべて報道されていたような内容のはずなのだけれど、こうして憲法学者に整理してもらうと、論点も明確になる。

私も前に、国際法上集団的自衛権が認められているから、合憲だという倒錯した論理を述べる一部与党の議員には呆れたことを書いた(憲法と安全保障)。
木村氏もまったく同じことを指摘されていた。
ただ、笑って済ませられないのは、そうした初歩的な論理の誤謬を平気で口にする政治家がこの国を動かしているという事実。これで政策をあやまたないなどということは、結果オーライ以外にはアリエナイ。


現在、この安保法制により、北朝鮮へ向かう米海軍に対して、自衛隊が防護出動することになった。

このことをケシカランなどと言うつもりはない、念のため。

昨年の安保法制議論のときに、北朝鮮の緊張をどこまで予測していたのか、もし予測していて法律を準備したのなら慧眼だと思うが、木村氏の解説を読んでいると、コトはそう簡単ではない。

下に見出しと一言解説を載せたけれど、その中に「個別的自衛権を制限する安保法制」というくだりがある。
これはわかりにくいのだけれど、木村氏によると、

2015年9月11日の国会集中審議で、民主党(当時)の福山哲郎参議院議員が「我が国に対し国際法上違法な武力攻撃をしているA国に後方支援しているB国の補給艦に対して、わが国は自衛権を行使できるか」と質問しています。これに対し中谷元防衛大臣は、「B国はわが国に対して直接攻撃をしていないので自衛権の行使はできない」と答えています。今回の安保法制によって、日本の個別的自衛権が制限されることを認めてしまっているわけですが、日本の安全保障上、極めて深刻な問題だと言えるでしょう。


今のところ、北朝鮮を支援する国はないだろうから、こうした事態には至らないと思うけれど、もしこのやりとりどおりだとすると、本当に武力行使について詰めて考えたのか訝られる。

また、後方支援は、「現に戦闘が行われている場所は除く」という話になってたようだけれど、それなら、日本の支援船を無視して、A国艦船のみに攻撃が集中されたらどうなるんだろう。個別的自衛権ではないし、かけつけ警護というわけでもなさそう。A国を見殺しにして逃げるんだろうか。戦闘に至らない間だけ防護って、言葉として変では。

いずれにせよ、集団的自衛権としてA国と同盟する以上、武力行使はA国と一体化したものとみなされることは覚悟しなければならないのだろう。

それにしても、もし朝鮮戦争で北が勝利し、朝鮮半島全体が共産化していたら、日本国憲法は直ちに改正されたにちがいない。


国際法上、武力行使は原則禁止されている
国連憲章二条四項
 
三つの例外
集団安全保障措置としての武力行使
それまでの緊急的対応としての個別的自衛権の行使、集団的自衛権の行使
 
安倍政権も認める九条の解釈
国連憲章が認める武力行使は権利、義務ではない
一項全面禁止説と二項全面禁止説(一項は侵略戦争の禁止、武力保持禁止の二項で一般禁止)
 
九条の例外と自衛権
例外規定があるか、あるとする場合の根拠は十三条(国内の安全)
ただし、これでは集団的自衛権の根拠としては薄弱、が従来の考え方
 
日本政府に軍事権は負託されていない
軍事権の規定は憲法のどこにもない、内閣に負託された権限は七十三条
国内安全保障の範囲であれば防衛行政と考え軍事権を持ち出す必要はない
 
安保法制は「全部のせラーメン」
 
安保法制のポイント
1 在外邦人の保護
2 武器等防護に関する規定の改正
3 国際平和協力法の改正
   現地住民の安全確保、かけつけ警護
4 後方支援
   非戦闘地域に限る⇒現に戦闘が行われている現場では実施しない
   電車を待つのにホームの黄色い線の内側だったのが、電車が来ていなければ線路へ降りて良い
5 「存立危機事態」要件の追加
 
自衛隊員の安全は確保されるのか
 
イラク戦争の総括という問題
過去の失敗の検証すらできない
 
個別的自衛権を制限する安保法制
 
集団的自衛権の行使と「三国志」
 
存立危機事態という概念の曖昧さ
曖昧ということ自体が憲法違反(法治主義に反する)
 
国会の議論は無駄ではなかった
議論の過程で、さまざまな言質がとれた
 
集団的自衛権違憲訴訟は可能か
裁判所は事案が発生しないと判断しないが、弁護士である国会議員に懲戒請求をすれば裁判になるかも
 
附帯決議に盛り込まれた仕掛け
存立危機事態と武力攻撃事態が重ならないことはほとんどない、
武力攻撃事態等に該当しない存立危機事態での防衛出動は、例外なく国会の事前承認を求める
自衛隊の海外活動についての一定期間ごとに国会承認
国会が活動終了を決議したらすみやかにその措置をとる

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