公的なビッグ・データ

ニュースサイトの記事に、「総務省統計局によると、日本の総人口は1億2558万3658人で、8年連続で減少している。また少子化も歯止めがかからず、出生数は98万1202人と過去最少を記録した。」というものがあった。

記事の趣旨は、人口減少対策にテクノロジーの活用を、というものだったけれど、これについてどうこう言うつもりはない。
ブログにとりあげたのは、この記事の冒頭に「2017年7月5日、総務省統計局は住民基本台帳を基に集計した17年1月1日時点の人口動態調査を発表した。」という一文があったから。

住民基本台帳を基に集計するって、以前から住基ネットワークがあって、出生・死亡・転居などの動態も全国データが日をおかず捕捉されているんじゃないだろうか。それなら、どうして、6ヶ月も遅れて統計が出てくるんだろう。それに、今やマイナンバーまである時代である。この程度の統計を集計するのに時間がかかりすぎじゃないだろうか。

2017-07-13_111919-crop.jpg 人口動態の把握は、厚生労働省所管の人口動態調査というもので行われている。住基データを単純に集計するようなものではなく、市町村長が、保健所・都道府県を経由して国へ、出生・死亡・死産・婚姻・離婚を届けるものだ。

件の総人口の発表も、これと併せて扱っているから、発表時期としては遅くなるのかもしれない。

人口動態調査は、人口や、出生、死亡などの数だけを把握するのではなく、離婚はその原因、死亡については、死因までが記入されるようになっている。全人口を対象として死因分析ができる唯一の統計だと思う。

どういう項目が報告されるのか、厚労省のホームページから死亡票の様式をダウンロードしてみた(右図)。

ずいぶん細かい。死因は、直接死因、それに至る原因が3段階記載されるようになっているが、どこまで精確に書かれるのだろう。
なんだか、私など、もともとの原因の欄に「たばこ」と書かれそうだ。


で、気がついたのだけれど、調査票にマイナンバーを書く欄がない
統計目的でしか利用しないから、個人を特定するキーは不要ということなのかもしれないが、それはかなりあさはかな考えで、個人のライフスタイル、ライフヒストリーとの相関関係を見出すことに利用できれば、はるかに利用価値が高くなる。
これには、当然、各種のデータとのマッチングが必要である。

マイナンバーどころか、死亡票を見ると、名前を書く欄はあるのだけれど、これはデータ化されないようだ。これでは原票にあたらなければ、マッチングのしようがないのじゃないだろうか。そして原票の保存年限を過ぎれば、それもできなくなる。

管理者が異なる複数の個人情報について、名寄せを行うことは、個人情報保護上、慎重に取り扱われる必要がある。OECDのガイドラインで、本人から収集することが原則に入れられているのは、名寄せを前提としないという趣旨でもある。
しかし、発生する情報が異なる管理に置かれていて、かつ、それらを名寄せすることが有効かつ情報管理がきちんと行われるのなら、名寄せという魅力的な方法を一概に否定すべきではないと思う。

このとき、問題になるのは名寄せの合理性と管理可能性など、名寄せという行為の評価である。手段としてマイナンバーその他を使うかどうかは本質的な問題ではない。実際、がん登録(ようやく法制化された)のような事業においては、患者の名前や生年月日、住んでいたところなどの情報を照合して、苦労して名寄せをして有効なデータを得ていたはずだ。

名寄せはしても良いが、マイナンバーは使わせないというのは、ただのイヤガラセだろう。(もちろんマイナンバーが付くことで、目的外の名寄せに流用sれてしまう危険については考慮しなければならないが)

その上、マイナンバーさえ付けなければ良いというような態度、つまり守るべき情報が何なのかを取り違えて気づかないという弊害をもたらすにちがいない。


国の役人も、真摯に衛生行政に取り組んでいる人なら、もっと利用したいと考えているはずだが、出世と自己保身にしか興味のない官僚は、調査票の集計だけできれば十分、個人情報保護のややこしい問題に関わるのはイヤということなのかもしれない。

個人情報保護法の改正で、いわゆるビッグ・データの利用が促進されるようになった。国や地方自治体などは、同法の直接適用からは除外されているようだが、この法の趣旨にのっとった個人情報の保護が求められている。
ならば、国や地方公共団体もビッグ・データの利用について考えるべきではないだろうか。

利用を禁止しさえすればOKという安直な態度は、税金の無駄遣いである。
どういう秩序ある利用ルールを構築するか、そちらに知恵を出さないなら役人の存在価値はない。まして、それを止めるような役人は、税金泥棒と言って良い。

随分前に、ある自治体の人から聞いた話だけれど、市が新しい施策を打ち出すとき、対象となる市民がどの程度存在するのか、あるいはどの程度の市民を対象に制度設計をすべきかといったことが課題になる。
それをシミュレーションするには、市民の所得の状況であったり、居住地域であったり、さまざまな属性情報が必要である。その市では、税や福祉関係などの各種のデータを使ってシミュレーションを実施しているという。

これなどアタリマエのデータ利用だと思うのだけれど、どうも個人情報保護というと、多くの公的機関がひたすら近寄らないでおこうという態度になっているのではないか。

公共の福祉と個人のプライバシー保護のバランス、一般的な線引きは難しい。そんなことはわかっているけれど、個々のケースを吟味すれば、悩むほどのことではないものが多いと思うが、どうだろう。

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