歴史性と非合理なデザイン

駐車場で苦労しているドライバーを見てふと思った。

priuscockpit.jpg車のハンドル(ステアリングホイール)は、車輪の向きとハンドルの向きが一致する自転車やバイクのそれとは異なる。ハンドルを右に回すと、車輪は左に切れたりしては論外だが、ハンドルの回転角は通常車輪の回転角の20倍ぐらいになるだろう(ハンドルを2回転ぐらいで、車輪の角度は45°程度)。だからハンドルがまっすぐになっていても、車輪は切られていることもあり、初心者がまごつくもとになる。もともとは、重たい車の車輪を腕力で方向を変えるのは難しく、ネジ式で動かす機構となっていたのだと思う。今なら、電動ハンドルだから、自転車やバイクのように、ハンドルと車輪の向きを対応させることも無理ではなく、初めて運転する人にわかりやすいハンドルも作れると思う。
そうはならないのは、やはり既に普及し、慣れてしまったものにとらわれているのだろう。

lettera34m.jpgタイプライターのキー配列は左上からQWERTY・・・と並んでいる。何故この並びになっているのかいろんな説があるようだ。

フォントフェイスの面積が小さい文字は相対的に力が弱い指で叩くようにしたとか、
高速でタイプしたとき活字のロッドがジャムらないように、連続して出現する率の高い文字を打ちにくいように配置したとか。

今の技術では、力加減の調整やロッドのジャム防止など簡単、というより今は活字をタイプするプリンタがそもそもないから、最も指を動かしやすい配列にしたほうが効率が良く、そういうデザインのキーボードもあるらしい。しかし、QWERTYで慣れてしまった人にとっては、キー配列を覚えなおすなどとても面倒。ある研究では、もし効率的配列にするとタイプスピードは3割ぐらい向上が見込まれるという。しかし「3割程度の向上効果では再訓練コストに見合わない」とも。

bio_codon.gif遺伝学の勃興期には多くの数学者が遺伝研究に携わったと言われている。メンデルの法則はきれいな数学的構造を示しているし、いろんな遺伝にかかる知見が得られるようになると、タンパク質をコードするとかアミノ酸を指定するといったメカニズムの解明に数学が寄与すると考えられた。ところが、まだ、化学的実態がわからない段階での数学者の予想(たとえばコドンとアミノ酸の対応とか)は外れることが多かったという。間違いの背景には「自然がそんな無駄なことをするはずはない」という信念があったと考えられているそうだ。

最近の生物学の知見では、神経ネットワークははじめは至る所につながるように生成され、それが不要なものを間引くという戦略で完成するのだそうだ。無駄なように見えて、それが良いらしい。また、生物進化とは、冷房と暖房を同時に動かすような世界だと、ドーキンスが言っていたと思う(際限のない軍拡競争の謂)。
自然がそんな無駄なことをするはずはないというのは間違いだと気付かれてきたようだ。


われわれはいろんなところで歴史を引きずっているわけだ。
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