ベルイマンの「魔笛」

海外通販サイト(DVD fantasium)で購入したベルイマンの「魔笛」

日本国内での上映会に二度足を運び、そしてレーザーディスクも買って見たものだけれど、あらためてこのブルーレイディスクを見て、当時の感興がよみがえってきた。

この映画が作られたのは1975年、日本で上映されたのは1976年(私は京都での上映会、1977年4月30日が最初)と、もう40年以上も前、昭和のことである。
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京都での上映会のチラシ


当然、技術というか規格には、時代の制約というものがある。一番は画像のアスペクト比が4:3であること。
このブログでは「カルメン」や「ドン・ジョバンニ」のBDのことをとりあげたことがあるが、これらはもちろん16:9のワイド画面である。
4:3ではせせこましいのではないか、そういう予想もしたのだが、そういうことはない。

まず、この作品はもともとテレビ用に作られていて、上映会でも4:3だったと思う。
そして、ベルイマンはテレビ用ということを踏まえて作っているに違いない。

Wikipediaの解説では「小劇場での上演を撮影している、という設定で演出」とあり、その小劇場としては「ストックホルム郊外にあるドロットニングホルム宮廷劇場という、1760年に建てられた200席ほどの劇場」が想定されているという。

そして、その小さな舞台が4:3の画面にフィットするようにしつらえられていて、画面の狭さというようなことは感じない。繰り返しになるが、メルヘンチックな「魔笛」の性格にふさわしい。(ブラナーの「魔笛」の広大な画面と比較すれば一目瞭然)

ただし、画像の品位(解像度)は悪い。映画フィルムから作成しているはずだから、もう少し高い解像度で作れるのではないかと思った。大画面のテレビでは粗さが目立つ。


つまり、上にあげた2つのBDのように、舞台を記録したオペラとは作りが違うということだろう。
幅のない舞台にコミカルな獣たちが出てくるシーンなど、もともと「魔笛」がもっているメルヘン的要素をむしろ強調しているように思う。

これは舞台の制約による結果というものではないと思う。たとえば第二幕、パミーナが自殺を図ろうとする場面は舞台を感じさせない、雪が降るシリアスな絵、それに続くパパゲーノが首を縊ろうとするシーンは作り物を押し出したコミカルなものになっている。


ブラナーの「魔笛」も舞台を記録したものではない。ブラナーは広い画面でドラマティックな善悪の戦いを強調しているように思えるが、ベルイマンはメルヘン性を利用しながら愛と世代の継続を描いている。

ところで、オペラというものを知らない青臭い頃は、オペラ映画を作るなら、配役は見た目で選んで、歌は吹替れば良いなどと考えていたりしたものだが、今はそういう考えはあらためている。素晴らしい歌を聴くと、若い美女などどうでも良くなっている。

単に熟女好みというだけかもしれないが。

これは日本の歌手でもそうで、毎年楽しみにしているニューイヤーオペラコンサートでも、みなさんお美しい。

本作品については、いろんな解説が一様にベルイマンをほめ、素晴らしい芸術作品に仕上がっているという書き方をしているのだが、素晴らしい芸術性というのは、モーツァルトが仕込んでおいたもので、それを引き出す才がベルイマンにあったということだろう。

「魔笛」の台本はちょっと出来が悪い、ストーリーに無理がある、納得しがたいという感じがするのだけれど、ベルイマンは、そういう手際の悪いところはきれいに直したように思う。


そして何より、どの歌手も、オーケストラもすばらしい出来。

それだけに音質が悪いのが残念。


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たびたびアップになる聴衆の一人。
ベルイマン監督の娘らしい。

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やっぱり三人の侍女は魅力的

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三人の侍女の中で一番可愛いかな

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こういう教訓があちこちに挟まれる

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第一幕のアリアの途中、ちらっとタミーノの様子を窺う夜の女王

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幕間休憩中。夜の女王は一服。後方に"喫煙厳禁"の表示があるが

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これも幕間。タミーノとパミーナはチェスで時間つぶし?

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試練を受けるタミーノとパパゲーノを誘惑しに来る三人の侍女

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普通の男なら誘惑に負けるだろう

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パミーナが死のうとするシーンは雪の中

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パパゲーノの首吊りはあくまでコミカルに

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パパゲーノとパパゲーナ
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