タブレット画面上での「署名」

signatureontab.jpg会津若松市では、諸証明の発行依頼をするときに、職員がタブレットを持って申請者に応対、画面上で申請書を作製、そして申請者がタブレット画面上で署名するサービス(「簡単ゆびナビ窓口システム」と言う)を実施しているそうだ。

タブレット画面上での署名が有効かどうか、市としても懸念したとのことだが、総務省は「法的に問題ないと整理するが、最終的には市町村判断」という見解とのことである。
そういえば、生命保険か何かの手続きだったと思うが、タブレットの大して大きくない画面上で「署名」をさせられたことがある。

住民票の交付申請ぐらいなら、裁判になるようなこともないだろうから、結果オーライだと思うのだけれど、一般化できるものだろうか、やはり不安である。不安を感じるのは、

・筆跡鑑定ができるのか
・「署名」が簡単に流用されないか

という2点。

まず、筆跡鑑定だが、タブレット画面上では思い通りに書けない感じで、書き癖とかが紙の上と同じになるのだろうか。何を使って書くのか、指と各種スタイラスペンで違うのではないか。タッチセンサーの性能や筆跡追跡のソフトによっても違ってくるのではないか。

最後の問題だが、タブレット画面をなぞることとそれが画面に表示されることとは直截結びついてはいない。紙にペンで書くのとは違う。普段、意識することはないが、PCのキーを押して画面にその文字が表示されるというのも直截的ではない。不正確の謗りを覚悟で解説すると、
  ①キーの押下→
    ②電気信号のプロセッサへの伝達→
    ③プロセッサの入力割込の発生→
    ④予め指定されたプログラムへ割込情報とともに制御を遷移→
    ⑤プログラム側で割込情報を解析して表示すべき文字を決定してOSへ出力依頼→
  ⑥OSが指定デバイスへ命令を発行

という一連の動作によって「キー押下→画面表示」ができる。つまり、キーを押すということと、画面にその文字が表示されるということは本来独立で、自然法則に則った原因・結果とは言えない。だからパスワードの表示抑制もできる。
このように多段の動作で構成されているから、そのどこに異常があっても正しい動作にはならない。画面上の表示と、センサーが追いかけた筆跡が同じという保証は、究極的には持てないかもしれない。わかりやすい例では、たいていの手書きメモアプリでは、線の太さとかも変更できる。軌跡を自動的に滑らかにするskitchなどのアプリもある。何をもって本人の筆跡かというのは案外難しい。


ただし、本人の筆跡を忠実に画像化していることが前提されるのであれば、タブレット上の署名でも書き癖などは判定でき、筆跡鑑定は可能という話もある。

次に署名が簡単に流用されないか、という不安である。他愛ない申し込み確認だと思って署名したら、実は裏で高額の契約書への署名だった、などという悪質なミミックがないだろうか。まして、一瞬にしてネット上に署名が流出する危険がないとは言えない。

結局のところ信頼関係としか言いようがないわけだが、署名を取り込んだ申請書を最終的にPDFなどに編集して、このPDFを確認するなどの手順があるなら、少しは安心感が増すかもしれない。
(信頼関係がある相手との契約だったら、署名も押印もいらないかもしれないが)

絶対に相手に否認されてはこまるような重要な契約などでは、タブレット画面上の署名では、本当に法廷で争ったときに証拠性があるのか不安である。
ネットで「タブレット上の署名 証拠性」でググっても、ヒットする記事はないようだ。まだ裁判実例はないのだろう。

やはり一般化するのは無理があるような気がする。
そして過度の一般化は、過度のセキュリティ対策、過度のコストと連鎖する。
制度設計ではこのことを忘れてはいけない。

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