「IP電話は災害に弱い」報道

K10038248811_1412090913_1412090922_01.jpg徳島県の大雪で、多くの家が孤立していたが、全世帯の安否確認ができたと報道されていた。まずは安堵するところである。
ただ、気になったのは、いくつかの報道機関が、IP電話が通じないことが事態を悪化させたというように報じていたこと。
記事では、従来の有線電話は電話局からの電気で作動するから、停電しても通ずるということを正しく伝えているが、一方で家庭の電力に頼るIP電話の脆弱性を責めているようにも読める。

ただ、これはもともとわかっていること。
今から二十数年前のことだが、米国のFTTH実験地区(Heathrow, Florida)を視察したことがある。
高級新興住宅地で、各戸に光ファイバーが配線され、ケーブルテレビ、セキュリティ監視、そして普通の電話のサービスを提供しているのだが、各戸のガレージにはかなり大きなバッテリーが備え付けられていた。
米国では、電話はライフラインと位置づけられていて、停電しても使えなければならないので、バッテリーバックアップをするということで認可(多分、州か自治体のパブリック・サービス委員会)されたと聞いた。

また、私の個人的経験だが、今の家を建てたとき、当初5年間は、セキュリティ・サービスへの加入が条件になっていた。当時は光ファイバー整備が進んでいなくて、その地区もまだ光ファイバーを敷設していなかったから当然だが、セキュリティの遠隔監視用回線はNTT回線(電線)を使っていた。しばらくして、光インターネットのサービスがはじまり、光電話も使えるようになったが、セキュリティ会社は光電話への変更を認めてくれなかった。やはり、停電しても使える回線でないと責任をもって監視できないという理由だった(その後、強引にお願いしたら、契約解除も困るからだろう、OKになった)。

そういうことを配慮してであろう、多機能電話やFAX付き電話はAC電源につなぐが、多くの製品は、AC電源をつながなくても電話はできるような仕様になっていた。(私は、電話局からの給電で電池を充電できないかと考えたこともある。光ファイバーになったらそういうわけにはゆかない。)

ということで、その「脆弱性」は、割りに良く知られていたはずだ。もちろん、電気や電話の知識がない人は、そういうことは全く意識していなかったかもしれないが、それならばこそ、バッテリーバックアップのことなどもちゃんと情報提供しておくべきだっただろう。

ところで、テレビ報道では携帯電話を持っている家も多く、だとすると、IP電話だけで通信を維持するという考え方をとる必要はない。ガラケーなら、2~3日はバッテリーが持つと考えられるし、簡単なモバイル・バッテリーを用意しておけばさらに安心である(乾電池式のモバイル・バッテリーなら充電量なども気にしなくて良い)。
IP電話を動作させるためには、メディア・コンバーターとIP電話アダプタが動かなければならないから、所要電力も大きいと思う(そもそも電話機自体が携帯電話よりずっと電気を喰うと思う)。
報道によると、防災行政無線の宅内機器はバッテリーを積んでいて、ここから情報は得られたようだ。IP電話、携帯電話、防災行政無線の組合せ次第では、より安心できる通信網を低コストで作れるかもしれない。
要するにIP電話だけを悪者にするのでなく、というか、一つのラインに頼って、それを完璧にすることを考えると、とんでもなく高いコストになることは必定である。そして実際にはうまく働かないことが多い。独立した複数のシステムによって保障する「集団安全保障」が大事であろう。

ところで徳島県では、ケーブルテレビを利用したインターネット、IP電話が多いと伝えられているが、徳島県は全県域へのケーブルテレビ普及を県が推進していたと聞いている。
もともと、徳島県は大阪のテレビ電波(VHF、アナログ)が拾えるところで、県民の大多数がちょっと良いアンテナを立てて、大阪のテレビを見ていたそうだ(ちなみに徳島県は近畿知事会にも入っている)。そのため、ローカルテレビ局が立地せず、もし単純に地上波デジタルへ移行していたら、多くの県民が見られるチャンネルがぐっと減ることになったかもしれない(区域外再送信の許諾も系列ローカル局が少ないので、かえって円滑にいったらしい)。

ケーブルテレビの推進は、県としては当然のことだっただろうし、他の選択肢もなかったと思う。
ただ、停電したら使えません、というか正確に、停電したらバッテリーで動かしてください、という説明も、危機管理上、しておけば良かったかもしれない。


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