「音楽」のはじまり(ルネサンス)~「西洋音楽史」(その4)

HilliardEnsemble.png岡田暁生「西洋音楽史」の4回目。

「ペトルッチ楽譜ライブラリー」(International Sheet Music Library Program)というサービスがある。今まで「ペトルッチ」が何のことなのか意識していなかったのだが、本書に次のように書かれている:
商業的な楽譜印刷を初めて行ったのはヴェネツィアのペトルッチ(1466~1539年)で、1501年のことである。それ以後ヨーロッパ各地に続々と出現した印刷業者たちは、競って作曲家の名前を表紙に印刷するようになった。……「『作曲家』とは『楽譜』に刷られて後世にまで残る『作品』を作る人のこと」というイメージの最初の萌芽は、この時代にある。

そうなのだ、思えば美術史のビッグネームもルネサンスからではないだろうか。

実は、今までルネサンス音楽というと、何かひなびた印象を持っていて、ダ・ヴィンチやミケランジェロの作品をルネサンスの代表とすると、音楽はもう一つぱっとしないと思っていて、音楽のルネサンスはバロック以降じゃないかなどと勝手に思っていたのだが、本書に導かれ、あらためてルネサンス音楽を聴き、また本書紹介の作曲家名を見ていると、やはり時代精神は音楽にも確実に反映しているのだなぁと認識させてもらった。
また、パレストリーナのような協和音で流れる歪みのない音楽は、ダ・ヴィンチやミケランジェロに通ずるのかもしれない(パレストリーナはダ・ヴィンチより100年近く新しいが)。崩した表現をことさら選ばず、どこをとっても自然、あるいは美。

そう本書では、中世の音楽が理念的傾向があったのに対し、美を追求するようになったと評されている。
「ハルモニア」という語は、……「高音と低音の数的比率」と定義されていた。だがルネサンスの代表的な理論家ティンクトリス(1435?~1511?)の『音楽用語定義集』(1474年)では、それは「美しい響き」と定義されるようになる。ハーモニーは「数」から「美」になったのである。

本書によると、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院には、2つの合唱隊席があるというのだが、駆け足の観光では「ヴェネツィアはこのごろたびたび浸水するので」という説明で床ばかり見ていた私は、そういう構造になっていることなど気づきもしなかったし、ガイドからもそういうことを説明された記憶はない。(ヴェネツィア人の現地ガイドだったが、日本人には「ちびまるこ」のネタで笑いをとっていた。それだけでなく日本文化にも詳しかったのだが。)

というように、ルネサンスは音楽についても、決して停滞の時代ではなくて、むしろ新しい可能性を大胆に求める時代だったのかもしれない。そして、それは未だことさら「個性的表現」を求める必要のない幸せな時代だったのではないだろうか。

本書では、ヒリヤード・アンサンブルのCDが紹介されていた。

HMVで買った。CDを買うときはいつもHMVとAmazonを比較するのだが、HMVはよく「まとめ買い」割引というのをやっていて、それを使うとAmazonより安くなることが多い。

聴いてみるとやはりゴシック期の音楽よりも中声が充実していて、組み立てがしっかりあるように思う。しかし、後世の曲のように親しみやすい旋律というふうには思えなくて、このあたりが、中世もルネサンスもたいして違わないと感じる原因かもしれない。(もっと単純に、マンロウもヒリヤード・アンサンブルもア・カペラだから同じように感じるだけなのかもしれないが。)

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