特攻 歪められた戦果

NHKでこの日曜日の朝、「特攻 歪められた戦果」というドキュメンタリーが放送された。再放送らしい。
周知のとおり、以前から、特攻については、米軍が予測するようになってからは戦果はほとんどあがっていないという話がある。

Kamikaze2shot.jpg

番組では、特攻の「戦果」がどのように「確認」されていたのか、その当事者の証言を放送していた。

戦果の確認は3つの方法で行われていたという。
一つは、戦域での偵察機による目視確認。相当の高空からでないと実行できないわけで、実際には確認は難しかったようだ。

次に、米軍の通信傍受。米軍側は攻撃を受けている状況を司令部などに伝えていたそうだが、これを傍受して、hit、pass を聴きとる。ただ、これに携わっていた人の証言では、上官は当たっただけでも「轟沈」とするのだという。

もう一つは、特攻機の電信。「突入報」というそうだが、目標を表すモールス信号、たとえば戦艦であれば「セ」のモールス信号を打ちながら突入する。この電信は、突入すれば当然途絶える。この信号が途絶えたことをもって特攻遂行とするのだそうだ。もちろん突入中に撃墜されてもやはり消えるのだが、「地上にいるものとして、特攻完遂としてやりたいのが人情」ということである。

これは私の推測だが、このような方法なら、まだ浮かんでいる敵艦も何回かは「轟沈」されるし、撃墜された特攻機の数だけ敵艦を撃破することになる。数字の上では、撃沈○隻、撃破○隻、になるだろう。
つまり、自分をもだます根拠数字として使えるわけだ。

メディアや国民も誇張された数字だと感じていたに違いない。
「特攻の戦果はどのように確認されてますか」と質問されたときには、「戦域での視認、米軍の通信傍受、特攻機の突入電信、これら三重の方法をもって確認しておる」と、しっかりした根拠に基づいた発表であると説明したのだろう。(周到な役人的対応
正確かと追及されれば、「最善の努力をしている、これ以上に何ができる」と居直っただろう。(傲慢な権力者的対応
また、部下にしてみれば「上が判断すること」であり、上司にしてみれば「部下からの報告に基づいている」という構図もある。(私は悪くない

帝国陸海軍では、作戦に直接的には責任をもたない参謀が指示するという相互無責任体制が構築されていたというが、命令系統においても上下にこうした無責任体制があったということだろう。(「検証 戦争責任」

一方で、大本営は戦果が上がっていないことは十分承知していた。そのことを番組では、海軍の内部文書を引いて紹介している。特攻は何艦沈めたとかいうことが大事なのではない、国のために身を捧げて戦っているということが大事なのである、と。

「犬死」である。そう言うと「彼らは犬死だと言うのか」と猛反発を受けるかもしれない。
しかし彼らを「犬死」にしない唯一の方法は、その事実を誤魔化すことではなく(前述の証言でも当時からその人情が働いていることがわかる)、その悔しさを忘れず、二度とその愚を繰り返さないことだろう。

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