洛中洛外図展

洛中洛外図展のコメント。
展覧会の正式名称は「京みやこを描く―洛中洛外図の時代―」で、4月12日までである。

洛中洛外図といえば、上杉本として知られる、例の信長から謙信へ送られたというもの(国宝)が有名だが、他にもたくさん作られていて、私もいくつかの展覧会で目にしたことがある。何の展覧会か忘れたが、非常に大きな作品を見て、飽かずに眺めたおぼえがある。

rekihakukouuseki.jpg

rekihakukousaseki.jpg


今回は、上杉本は複製が置かれていたが、歴史博物館所蔵品2点をはじめ、多くのものが集結している。
特に、歴博のものは、来場者がつぶさに見られるように、複製も展示されていた。歴博のものは、2隻が一組で、右隻が東を向いたもの、左隻が西を向いたものになっているわけだが、本物はガラスの中に並べられているが、複製は、おそらくそうやって鑑賞されたのだろうという、向かい合わせに置かれている。この間で鑑賞すれば、北を向いて座っているという趣向になるわけだ。

kyowoegaku.jpg洛中洛外図というのは、「芸術」鑑賞ではなくて、歴史資料を見るという感じになるのだろう、今も残る京都の名所が描かれていて、来場者の多くが、覚えのある名所を探して、見つけると「あった、あった」という具合。
「内裏はどこかしら?」というような声が聞こえたので、私も指差してあげたりした。

音声ガイドを借りて、作品の説明を聴いていたが、こういう作品の場合、ガイドは必須であろう。でないと、絵にかきこまれている細かい見どころがわからない。
もう一つ必須のものは、単眼鏡(あるいは双眼鏡)である。美術展へ行くときはだいたいいつも単眼鏡を持っていくと前に書いたけれど、今回は本当に役に立った。
wallywosagase.jpg
とにかく、大きな画面に実に細かく書きこまれているのだ。特に、桃山時代の作品では黒ずんでいて、人物の目鼻立ちが細かく書きこまれていてもぱっと見には全然わからないのだが、単眼鏡で見るとくっきりとわかる。
そうやって細かく見ていると、いくらでも時間が経つ。丁寧に見ていたら、1枚見るのに何十分もかかってしまうだろう。(ウォーリーを探しているようなものだ。)

展示でおもしろいと思ったのは、名所・大屋敷をひとつずつ絵にしているもの。これはこれで見事なのだが、これらを一幅(というかだいたい6扇あるのだけれど)の洛中洛外図にまとめるのに使われたらしい。

「大和絵の 要所要所は 雲で逃げ」という川柳があるらしいが、洛中洛外図といえば、あちこちが雲で隠されている。
そもそも現代的な地図にあたるものではなく(区割りが通りの名前が書きこまれた地図は別にある、これも展示されている)、大体の位置関係を著しているにすぎないが、それでも、初期のものは、鴨川や堀川、小川が描かれ、道筋もわかるようになっているのだが、江戸期になると、名所をだいたいこのあたりと配置しているだけの、位置関係が随分アバウトなものになる。(もっと時代が下ると、市域全体を書き込んでいる写実的な洛中洛外図も現れる⇒原在中「東山三十六峰図巻」)

higashiyama36pou.jpg


今回は時間の余裕がなかったし、長時間見ていると疲れてもくる。こうなったら図録を買って、家でゆっくり見るしかない。
図録はずっしり重い。2,300円である。(鮮やかな人物画は表紙ではなく、図録の透明ケースに描かれている。)

kyoto1000nennorekishi.jpg少し前に、高橋昌明「京都〈千年の都〉の歴史」という本を読んだ。この本でも洛中洛外図には触れているが、考古学的証拠もあわせて、京都の変遷が書かれている。

平安京は決して完成することはなかった。条坊制の遺構が残るとはいうものの、平安末には、町を管理していた役人が承認して通りが畑になっていく。
応仁の乱で人口を激減させ、その後、秀吉のお土居で城壁都市となってようやく都の賑わいをとりもどす。
そして江戸期には、さらに発展して、お土居を崩して、市街地が広がっていく。
それも、丹後・越前から京都への物流が、船運の発達で京都を通過しなくなると、また京都は力を失っていく。
御所にしろ、名刹にしろ、江戸幕府の支援がなければ京都の町はなりたたなかったと指摘している。
その京都が、倒幕の中心になったのだから皮肉なものだ。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

はつよろです♪

なんだかファンになっちゃいましたo(≧∇≦o)

わたしですね…このところついてなくて(汗)
すべり台を滑っても滑ってもゴールが無い感じなんて言えば少しは伝わりますか?
ものすごい急降下中なんです。。

そんなこんなで色んなブログ読み漁ってたらここで足が止まりました(・∀・)不思議と心惹かれたんです。
六二郎。さんも色んな時間を過ごされてるんですよね。きっと。。

急なお願いで戸惑わせてしまうかもしれませんが
話し込んでみたいというか話しを聞いてもらえたらって気持ちを持たずにはいられなかったんです(∩_∩)

連絡してくれたら有難いです。
もしも迷惑であればコメントごと私のこと消してください。

Re: はつよろです♪

コメントありがとうございます。

> すべり台を滑っても滑ってもゴールが無い感じなんて言えば少しは伝わりますか?
> ものすごい急降下中なんです。。
それって、人工衛星状態と考えればよろしいのでは。
(力学的には人工衛星はずっと「落ち続けている」という見方もあります。)

「ついてない」とのことですが人工衛星なら地に足がつかないのも無理のないこと。
案外、地上を見下したり、夢を見る良いポジションなのかも。

Gallery
検索フォーム

⇒記事一覧

プロフィール

六二郎。六二郎。


定年退職
苦しい家計の足しに再就職
=いつクビになってもええねん
 言うたもん勝ちや!のブログ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
アーカイブ
カテゴリ
タグ

書評 ITガジェット マイナンバー Audio/Visual 

現在の閲覧者数
聞いたもん