都構想と大阪のビジョン

昨日に続いて大阪都構想について。

昨日は、都構想の真の狙いは二重行政の解消ではないだろう、むしろ行政権力の集中によって、大阪のグランドデザインを書くために、富と権力の中心にある大阪市は解体することだろうとした。
それでは、都構想で示されているビジョンを簡単に見てみよう。

まず、税収総額が同じだとしたら、大阪市に入っていた税(具体的には固定資産税)のいくらかが、大阪都の収入になり、そして他の市町村への投資に振り向けられる。
実際、橋下氏は、大阪市の富は大阪市のためだけのものではない、と仰っている。

ただ、良く引き合いに出される東京都と大阪は、実は投資構造が全く違っている。
以前、東京と大阪の公共投資について聞いた話だが、東京は都市インフラに多額の国費が投入されているが、大阪はほとんど地元経済界の投資に頼っている。実際、東京圏の交通網はJRが充実していること、営団地下鉄は半分以上国の出資であること、空港も国の事業であることなど、多くが国策として行われている。
対して、大阪は最近でこそJRが自主努力で頑張っているものの私鉄の力が大きいし、地下鉄はもちろん市営、空港も欲しいのなら地元が応分の負担をしなければ、という調子である。
決して、大阪府・大阪市が並び立つから東京都と比べて都市インフラが見劣りしたわけではない。
大阪へ投資される国費は、大阪から上がる税収(国税)より少ないと言われている。

それはともかくとして、都構想がかかげている大阪のビジョン(らしきもの)も、交通政策が多い。淀川左岸線や大和川線などの道路整備などである。

10daihousha3kanjo.jpg とはいうものの、これらの事業は、都構想で新しく出たわけでも何でもない。事業主体も阪神高速株式会社で、都行政とは直接関係しない。現に、阪神高速道路株式会社には府・市肩を並べて14%を出資している(筆頭株主は国)。別に、大阪市が邪魔をしているからできていないわけではない。現に、着々と進んでもいる。
大阪モノレールの延伸も古くからある課題だが、これは大阪地下鉄の市外延伸同様、フィージビリティの問題であろう。東大阪市が出資するかどうかも大きいと思う。なお大阪市はモノレールへは出資していない。大阪市はそれこそ関係ない。

ところで、橋下氏は大阪国際空港は廃止すると言っていた。モノレールが黒字経営を続けているのは空港の需要が大きいと思うが、空港がなくなったら赤字転落はまちがいない。これに限らず、施策の一貫性が疑われることが(口ではグランド・デザインだと強調するのだけれど)、都構想推進派に対する不安である。

こういうと、大阪市は自分の分だけ、という態度のようにも見えるのだけれど、実際は、関空へも出資した実績がある。お付き合いで税金を使うわけにはいかないだろうから、「空港のインパクト」という当時さかんに言われていた理屈で出資に応じたのに違いない。

osakakoutsukeikaku.jpg つまり、都構想が標榜する広域交通体系のような事業については、今までも特定の行政機構ではなくて、民間事業として実施されてきている。

都構想が実現すればできる、実現しなければできないという論理にも疑問がある。
レトリックで誤魔化されないために、論理学の基本をおさらいしておこう。

「 p ならば q 」という命題があるとき、q が真であるなら、この命題全体が真であることになるが、それによって p が真であるか偽であるかは決定されない。

つまり、都構想推進派が言う「大阪都が実現すれば、○○ができる」という言説において、「○○ができる」自体については、ほとんどの人がそれは良いことだと言うものがあげられているわけだが、問題はそのことによって「大阪都の実現」を論理的帰結とすることはできないということである。
前述のとおり、掲げられた「○○」は、それぞれ従来も現行の、国・府・市の体制のもとで、それぞれ事業主体が工夫されて進められているものであって、大阪都に権力を集中しなくてもできると考えられる。もちろん、権力の集中が事業の進捗を後押ししたりする効果はあるかもしれないが。

事業ごとに適切な事業主体・出資者により、是々非々で進めていくというのは、官民連携とか、民間活力の活用とか、役所のどんぶり勘定の排除とか、お役所仕事の不効率の排除とか、今まで良いことずくめのように、多くの政治家、維新の会も言ってきたはずなんだけど。

もっとも黒字の泉北高速の株を外資に売ろうとしたり、筆頭株主の言うことをきかないから電力株を売ろうとするのはどういう行動基準なのか。また無配なら株を売るというなら、三セクなど成立のしようもないが。


「今のままではできない、大阪都になればできる」という題目だけを繰り返すのでなく、なぜそうなのかを説明する責任があると思う。

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