町田久成という人

koukogakudegendaiwomiru.jpg 田中琢「考古学で現代を見る」という本を読んでいて、標題の人、町田久成という人の名前を知った(同書中「日本文化財保護小史」)。

この世界では有名な人なのだろうけれど、私は知らなかった。ブログ読者にも知らない人がいるのではと思うので、今日は同書からの引用で記事を埋めて、この人を紹介しよう(強調太字は筆者)。

まず、どういうことをした人か。
 このような今でいう文化財保護行政の中心にいたのが町田久成(1838~1897)でした。薩摩の名家の出で、藩の大目付や洋学を教えた薩摩藩の開成所の学頭などになり、幕末に薩摩藩がイギリスに送り出した留学生の引率者、監督者のようなこともやっています。この町田久成は、明治になると、参与になり、外務省に入ってのちには外務大丞になり、明治三年には文部大丞になっています。その辺の動きはさきの外務省の「集古館」建設の建議や次の大学の建言と符合します。日本最初のこの文化財保護の動きの背後には町田がいた、とわたくしは推定しています。
 このとき全国からリストと報告をださせるとともに、町田みずから全国を調査してまわっています。宝物調査です。保護のためには、どこにどんなものがどのような状況にあるのか、正確に知っておく必要性を説いています。日本の文化財保護のための基本調査がはじまっていたのです。  よくこういうことが言われます。明治一一年来日したアメリカ人フェノロサ、大学で政治学や哲学などを講義し、日本美術を研究した人ですが、このフェノロサが日本の文化財の海外流出状況をみて、その防止を説いたので、日本人もようやくその問題に気付いたと書かれていることがあります。だが、フェノロサの来日以前、明治五年ごろ日本人のなかに、保護リストを作成し、対策を講じようとした人がいたのです。フェノロサの美術品調査も有名ですが、その仕事に町田はすでに着手していました。

さらに同書には興味深いことが書かれている。
 町田には日本に博物館をつくることが終生の仕事となります。最初は文部省に所属していた博物館もそのうちに内務省に移ります。内務省は大久保利通がつくった役所ですね。日本国を統治するためにいまの警察や自治省・建設省などを集めたような非常に有力な役所でした。この内務省に博物館の属する博物局が入ります。なぜか。本格的な博物館施設をつくろうとした。その場所の問題があった、とわたくしはみています。
 現在、東京の国立博物館は上野公園にあります。町田はあそこへ博物館をつくろうとした。ところがいろいろな役所があの上野寛永寺の跡地をねらっていました。兵部省は兵学校をつくろうとする。文部省は医学校をつくろうとする。なかなか簡単には博物館をつくれそうにない。そこで、大久保利通、旧幕時代の身分は町田のはるか下でしたが、このころには権勢並びなき人物になっていたかれがひきいる内務省に移ることによって、その力で博物館建設用地を上野に確保しようとしたのでないかと推定しています。
 事実、大久保は、西南戦争の前、国事多端の折に博物館建設候補地として寛永寺跡を視察しています。そうして博物館がいま東京国立博物館のあるあの場所に明示一五年開館できたのです。

同書には、その他の町田の活躍がいろいろとりあげられているのだけれど、最後にもう一つ引用させてもらう。
 明治一五年、町田久成は上野に博物館ができると官を辞します。明治二二年には出家しています。明治維新の最初のころは外務大丞、つぎに文部大丞、局長か次官ぐらいの仕事をしている。それがやがて博物局長になり、博物課長になる。博物館の仕事をやるために、ポストが下がってもそれを追って行く。この人の顕彰碑が現在の東京国立博物館の裏手に立っており、博物館建設に一生を費やしたことを記しています。博物館を建設したら坊主になってしまう。自分の集めた書画骨董の類もすべて博物館に寄付してしまう。ゆっくり調べてみたい人物ですね。

気になったので、Wikipediaも引いてみた。ちゃんとこの人の項が立てられている。
そこにも面白いエピソードが収録されている。

今まで全く知らなかった人だけれど、なんとおもしろい、そしてすごい人だろう。

平城宮跡保存運動の棚田嘉十郎(宮跡に銅像がある)など、文化財保存って、結構、個人の思いに負っている面があるようだ。

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