マイナンバー通知の不達はそんなに問題か

20150927-OYT1I50036-L.jpg 新聞社の調査で、マイナンバーの通知が不達になるおそれがあると報道されていた。
来月5日以降、全国5200万世帯に郵送される共通番号(マイナンバー)の「通知カード」について、99の政令指定都市、特別区、中核市、県庁所在地のうち、3分の1に当たる35自治体で、1割以上が宛先に届かずに戻ってくると予測していることが、読売新聞の調査でわかった。
"マイナンバー 通知 不達" でググると、あちこちの新聞が同様の報道をしていることがわかる。

記事は、これが大きな問題だと報じているわけだが、私には不達がそんなに大きな問題だとは思えない。
「通知が届かない」というクレームの発生や、窓口にマイナンバーを教えてくれという住民が殺到するなど、市役所に混乱が生じると問題はあるけれど、10月の早い時期に、全住民にマイナンバーが伝わらなくても、困ることはないだろう。

【補足】 受取人不在-持ち帰り郵便物は、7日間配達局が預かるので、郵便局にも殺到が予想される。


早期にマイナンバーが必要になるのは、給与や報酬を受け取る人が、支払元からマイナンバーの提示を求められる場合だろう。これらの会社は、1月からの源泉徴収手続きでマイナンバーを付す必要があるから、その準備のために、早いうちから従業員等のマイナンバーを収集するだろう。
それに次いで、年明けからの税の諸手続きで、いざ申告しようとしてマイナンバーがわからなかったら困るだろう。

つまり、マイナンバーが必要となる場面に至る前に、本人がそれを知れば良いわけで、いついつまでに全住民に知らせなければならないなどと考える必要はない。必要になれば市役所に聴く、原理的にはそれで良いはずである。完全な通知を目的とするのではなく、必要になったときに本人に通知するのでは一斉に利用開始されたときに照会が殺到するから、それを回避するための準備作業というのが通知の本質であろう。

不達が発生したとしても、マイナンバーが届いていないという申し出に対し、市役所が不達返送された通知郵便物の山から該当通知を探して確認できるなら、それを渡せば良いだけのように思う。
一方、返送された通知が見当たらない場合だが、通知は簡易書留で送付されるから、受取人を確認する(受領印も押す)はずなので、そうそう誤配はおきないと思うが、返送されていないし、本人にも届いていない場合は(本人の思い違いとか、来てたけどなくしてしまったとか、いろいろバリエーションがあるだろう)、マイナンバーが漏洩した怖れがあるから、番号を振り直すということになるのだろうか(年金番号の流出事件でとられた対応に準じるならそうではないか)。


こういう問題は、マイナンバー自体をまるで機密情報のように考え、権限のある人以外に知らせないことを原則としたために起こっているもので、その原則を遵守することは困難だと思う。また、その原則を守ったからと言ってプライバシー侵害の危険が著しく下がるほどの効果があるのかも疑わしい。

マイナンバーが漏洩したといっても、本人がうっかり漏らしてしまった場合に、番号を振り直すなんてことしてたら、制度が崩壊してしまう。当然、そういうことは認められないはずだが、そうすると、「あれほど他人に知られてはいけないといっておいて、うっかり漏らしてしまった時には対応してくれないのか、私のプライバシーはどうしてくれるんだ」というクレームも予測される。


現在のルールを遵守しようとすれば、従業員のマイナンバーを収集する企業等は、マイナンバー記載書類(給与支払い明細など)・情報システムを、ちゃんと鍵のかかるところで、厳重なアクセス・コントロールの下に置かなければならず、そのために新たな投資が強いられるし、運用負担も大きくなる。

しかし、普通に考えて、会社の給与担当者がそんな面倒なことを本当に遵守するのか、小さな会社で徹底できるか、大きな会社なら逆に関与する社員が多くて全員に徹底できるか、一人ひとりの社員の認識はどうなのか、疑問はいっぱいである。しかも、マイナンバーが漏れるより、その人の住所や電話番号が漏れる方が、ずっと現実的被害を引き起こすおそれが大きいのではないだろうか。本当はそっちに気を遣ってくるべきだっただろう。

私は以前から、マイナンバーは役所が付けた名前と考えて、名前と同様の情報管理を行えば十分であると考えている。米国のSSNのように番号を知っていることを本人確認にする愚を犯さず、守るべき個人情報の実態の方(マイナンバーは漏れたとしても、住所も電話番号も、性別も生年月日も推測されない。名前だったら性別が推測されるだろうけど)をきちんとすることを考えるべきだと思う。

マイナンバーが付いた状態で個人情報が流通すると名寄せの危険が発生するということは理解できるけれど、マイナンバーなどついていなくても名簿屋は名寄せによって付加価値を高めた個人情報を販売しているという。
住民一人一人が自己のマイナンバーの流通をコントロールする意識を持つこと、法律で認められた場合を除き、他人のマイナンバーを収集してはならない、収集者には情報管理責任が発生する(罰則がある)ことで十分ではないだろうか。
無暗に重たい保護対策をする前に、何のために保護するのか、その理解が先だろう。

政府は、個人情報保護に細心の注意を払ったのだろうが、それがむしろ仇となって、マイナンバーを何かこわいものであるかのような雰囲気を作り出してしまったのではないだろうか。

ちなみに、政府だから信用するという人は少ない。政府に国民のプライバシーを守らせるのは「猫に魚の番をさせる」に等しいことであるというのも、国民総背番号制反対の理屈だったのではないだろうか。


マス・メディアも、いたずらに危機感を煽るような報道をせず、マイナンバーの正しい理解を促進するような報道をすべきだと思う。そうしないのは、センセーショナルでないと記事にならないからだろうか、それとも、記者自身がマイナンバーを本当には理解していないからだろうか。

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