名寄番号 その2 使い方

昨日稿で「名寄番号」というマイナンバーに代わるものを考えたが、今日はその続きで、使い方について考える。
まず確認しなければならないのは、名寄番号による名寄行為はどうあるべきかである。

名寄番号による情報照会制度の基本的考え方

事務間での情報照会は、名寄番号制度とは別に、それぞれの必要性・妥当性が吟味され、個別法により認められたものであり、そうした照会事務において、名寄番号を使うことで、円滑・確実な情報照会を実現するものである。
名寄番号制度の創設により、事務間の情報照会が可能になるわけではない。
情報照会における名寄番号の利用は、手続き・技術を定めるにすぎない。


実際には、こうした事務間の情報照会は、個人情報保護が厳格に行われるようになる前からあったことで、慣例として行われているものもあるに違いない。税務調査に至っては、どうやって情報を取得したかさえ秘密にされているだろう。(公務員一般に守秘義務があるが、税務職員については守秘義務が特に定められている。これは、課税情報そのものを守るためではなく、課税の根拠となったデータを守るためだと言う話を聞いたことがある。)

そうした事態が、マイナンバー法制により関連事務の範囲があきらかになるという余得はあるかもしれないが、それは本末転倒の話である。


○名寄番号は、法で指定した手続きには記載を義務付ける
具体的には税の申告、公的年金の加入などで、マイナンバーと同様である。源泉徴収義務者は本人に代わってこれらの手続きをするわけだから、当然、本人の名寄番号を収集することになる。
そして法に基づいて事業者等に情報提供を求める場合、事業者側は名寄番号を記載して回答しなければならないとする。なお、この場合、情報提供を求める側が名寄番号を提示して対象者を特定することができるとする。今まで名前と住所などで本人を推定していたところを、名寄番号で済ませるというだけの話である。

事業者の既存システムには手を入れる必要はない。名寄番号自体は特別な保護対象ではないから「特定個人情報」という概念もないから、それ用に保管ロッカーを用意する必要もない。
実務的には、内部管理用の個人識別コードと名寄番号の対応表を分離して凌げばよいだろう。オーソライズされた機関から情報照会があれば、当然、照会手順・項目などは厳密に定められていなければならないから、それに対応したパッケージ・ソフトを用意するのは難しくない。
たとえば、源泉徴収義務者が従業員の天引き情報を税務署に渡すとき、電子データならフォーマットが定められているから、そこに番号のフィールドを設けるだけである。そしてそのフォーマットはもともと共通だから、内部の個人識別コードと名寄番号の対応表から所定フォーマットに変換するのも、余程特殊な識別方法をとっていない限り、共通のものが利用できるであろう。


○利用範囲の法定
問題は、名前以上に強い規制が必要かどうかであるけれど、制度の適切な運用と国民の理解を求める上では、名寄番号は法で定められた使い方に限るとしておくのが良いだろう。
もちろん収集制限の原則に照らして、名寄番号の収集が正当化されるのは、その必要性が明確な場合であるから、法定しなくても保護されるべきものであるが、そういう約束はすぐ反故にされるので、必要性は法によるもの以外は認めないという論理である。

法定主義を導入すると、利用範囲が拡大されるたびに法改正をしなければならないわけで、国は条文に1行書くだけで済むかもしれないが、現場では、自分には何の必要性もないにもかかわらず、その改正に対応するために、あらためて名寄番号の収集やシステム改修をしなければならない事態となり、大変煩わしい。
しかし、このことが逆に、簡単には法改正できないように働くと期待するべきなのだろう。現場の迷惑も考えず簡単に別表追加などするなということである。

それよりも、たとえば信用情報照会システムで、より確実な情報照会を行うため、クレジット・カードの加入者には名寄番号の提示を求めたいというような業界の要望があって、それが妥当で、利用者の利益になるということが国会で審議されて認められる、という制度こそがのぞましいと思う。
(使いたいといっても、個人情報保護審議会や国会が否定する。そもそも個人情報の国家管理がいやだと言う人がいるから保護に力を入れているんでしょう。)

○流通規制
名寄番号では、その秘匿を義務付けるのではなく、流通を規制する。すなわち、法定外での名寄番号入り個人情報の提供禁止(提供元、提供先両方に罰則規定)、名寄番号を含んだ出版、公衆送信の禁止などである。
これにより名簿屋などによる名寄番号入りのデータの販売は直ちにアウトとなる。もちろんそうすれば、名簿屋は、手に入れた名寄番号入り個人情報を照合して、その中にメールアドレスなど個人識別可能な情報があれば、そちらをキーにしてデータを販売すると思われる。ただし、もともとの名寄番号入り個人情報は不正に取得したものだから、その時点で違法である。

マイナンバー制度で秘匿をやかましくいうのは、個人情報の保護をITセキュリティという発想で見ているからだと思うのだが、悪用防止という発想でも良いのではないだろうか。というのは、漏洩に対しては個人情報保護法や不正アクセス禁止法が既にさだめているところであり、番号制度特有の問題ではないと思うから。
漏らしたら罰ではなく、使ったら罰である。

○公的記録等への照会(身分証明)
以上は、機関間での情報照会にあたってのルールだけれど、本人は必要な時に公的機関へ自己情報を請求する際に、名寄番号を使うことができるという使い方である。
たとえば警察などから職務質問を受けたときに、名寄番号カード(マイナンバーカードのようなもの)を提示すれば、券面顔写真と持ち主を照合したうえで、名寄番号により、本人の住所等が確実に照会できるというわけだ。
もちろん名寄番号カードの発行は、名寄番号制度の本質とは別に、別の法律により行うべきだろう。


さて、こういう使い方はマイナンバーとほぼ同様なのだけれど、名寄番号という考え方でなぜコストが下がるのか、その説明はまた、稿をあらためて。

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