TPP

kuronuri_shiryo.jpg TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の批准手続きが始まっている。
ところが国会ではいきなり、協定交渉の資料開示でもめている。

TPPに賛成か反対かと言われても、なんとも言えない。そもそも自由貿易が良いか、制限貿易が良いかなんてことでも、世界全体の経済効率からは自由貿易が良いに決まっていても、だからといってそれが各国民の幸せにつながるかどうかが決まっているわけでもない。また、ルールが変更されれば、それで得をする人、損をする人がでてくることは必定である。

一般論での答えは難しいからといって、各論を見るとしても、TPP協定の内容・範囲ときたらあまりに広くて、直接的な利害関係者でもなければ、見る気も起きない。結局、TPP協定が発効し、われわれの生活にじわじわと影響してきたときに、対TPPということではなくて、世の移り変わりにどう対処しようかということになるのだろう。

ただ、気になるのは、冒頭の交渉資料の開示問題。
政府側の説明も一理あると思う。最終合意案がすべてである、そのとおりだと思う。

交渉過程は秘密にすることが約束だというのも良くわかる。そうでなければ紛糾につぐ紛糾で、成案を得ることが難しくなるという理屈もそうだと思う。もちろん、そうやって秘密裡に作られた案が表に出たときに、猛烈な反対を受けて、全体が否定されてしまうという危険もあったと思うけれど、結局は、強い政府間がまとまれば新しいルールを作れると踏んだというわけだ。これは良し悪しの問題ではないと思う。

ただ、成案ができた段階では、交渉過程を秘密にすることにどういう意義があるのか。
おそらく、交渉担当者は、各業種・業界の事情、国民への影響、賛否の予測などを踏まえて交渉にあたってきたものと思う。そこには、批准審議にあたって問題になる論点のほとんどが先取りされていただろう。
つまり、交渉過程の資料を開示することは、野党にあんちょこを渡すようなものなのである。

それに交渉事というのは、複数の利害関係者があれば、一方を利しても他方には不利になる、あるいは一方の利を得るために犠牲とする、そういうことが行われるから、政府がどこを優先し、どこを切り捨てようとしたのかがあからさまになる。これは困る、ということなのだろう。

交渉には秘密が必要、それはわかるけれど、しかし、既に案は出たわけだ。
対外的な交渉は終わったわけだけど、内政も交渉事なのだろうか。
野党に勝つことが大事なのではなくて、国民の幸福に関心をもつべきだ。
もちろん国民の間でも利害は対立している。だからこそ、今までのルールが変わることで、誰が得をし、誰が損をするのかを見極め、新しいルールに反しない方法で不利益を蒙る人に対してどんなことができるのかなど、議論すべき実体というものがあるのではないだろうか。

交渉過程を開示すると、論点が多くなりすぎる?
相手の無知を良いことに自分の意見を通すということは、姑息な駆け引きであって、一国の将来を議論する姿勢ではない。
だまされた方が悪いで済む話ではないだろう。

本能寺の変のとき、秀吉は毛利との和睦を急いだが、その後に信長の死を知った毛利側は、だまされたと思ったかもしれない。
実際、吉川元春は秀吉追撃を主張したが、小早川隆景は既に成った和睦を破るわけにはゆかないと反対したとされる。しかしこれは多分、武士の道徳というような問題ではなくて、小早川隆景には、歴史の動く方向が見えていて、毛利が織田にとってかわる覚悟なしには(そしてそれはなかった)、秀吉の追撃はすべきでないと判断したからではないだろうか。



ただ、資料開示については少し気になることがある。
それは交渉過程において「密約」がなかったのかということ。

核持ち込みや補償問題で、政府が否定し続けてきた密約の存在は既に周知の事実となっている。この国の政府は密約が好きで、しかもそれを隠し続ける。


密約が一概に悪いと言っているわけではない。
密約が開示資料でアカラサマになると、これは困るだろう。

たとえば関税が撤廃されたとして、輸出補助金はもちろん禁止されるだろうけれど、直接的な輸出補助ではなくて、輸出コストの削減に資するような施策で肩代わりしてルールの裏をかくなんてことはできそうだ。
農業では、農業試験場などの公的機関が農業振興を図ってきた歴史があるが、公的補助はけしからんということになったら困るだろう。


つまり、当事国が阿吽の呼吸で、それぞれの国内施策を認め合うというようなことがあるかもしれない。二国間交渉ではないから、それが密約になる可能性はある(第三国にバレてはまずいという密約)。

それにしても、今の国会議員で、信頼して秘密を預けられるような人がどんだけいるんだ、そう考えれば、開示するもしないも、所詮、「公式には」ということでしかないかもしれない(論点整理のためなら「公式」である必要はない)。

TPP特別委員会委員長が書いた「TPPの真実」(5月出版予定)には、交渉過程が暴露されているらしい。
(Amazonで予約受付していたが削除されたそうだ。



ということで、難しい問題だけれど、TPP協定はおそらく発効する。
TPPはルールである。そのルールで戦えるかどうか、もし何かが足りないというなら、それをルールに違反しない方法でどう手当てするのか、あるいは代替していくのか、議論は広く行うべきだろう。
(支持者の利害しか考慮しないという民主主義もあるかもしれないが)

chap14_EC_hilite.png もう時間がない。少ない時間で、国民のために審議をきちんとし、必要な国内施策を実行するためには、交渉過程の資料の開示はすべきだと思うがどうだろう。

ところで、TPP協定ではICTに関するものも含まれる。
仕事柄、その部分の概要だけは読んでみたけれど、ちょっと気になることが書いてあった。

企業等が自国の領域内でビジネスを遂行するための条件として、コンピュータ関連設備を自国の領域内に設置すること等を要求してはならない。

というのがある。注で例外も認められるらしいが、この通りだと、近年のクラウド・サービスを利用する場合、データセンターを国内に置くことという条件をつけることはできないことになる。
私はそれでもいいけど、政府はそれでも良いのかな。
(政府調達なら特に厳しくTPPの遵守を求めるのでは)

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