「超高齢社会の法律、何が問題なのか」

superagedsociety_higuchi_cover.jpg 樋口範雄「超高齢社会の法律、何が問題なのか」について。

良書だと思う。
超高齢社会を迎えて、我が国の法律のどこにどんな綻びが目立つようになったのか、具体的に指摘し、解決の糸口も提示しているし、諸外国の例も多く紹介されている。

その典型的な事例として、本書の最初に、認知症で徘徊中の高齢者が列車にはねられ、遺族が損害賠償を求められた事件がとりあげられている。本書出版時は、まだ名古屋高裁の判決(遺族に賠償責任を認めたもの)の段階だったが、周知のとおり最高裁では責任を認めず、判決は逆転している。

君主制だったら、慈悲深きお殿様が遺族へのお見舞いはもとより、鉄道会社への補償もして、めでたしめでたしとなったかもしれないが、民主主義国では、行政は法的根拠のない仕事はできないし、公金管理には一点のやましさもあってはならないから、そうした美談は生まれようがない。


著者は、名古屋高裁の判決を厳しく批判しているのだけれど、法律の専門家として、高裁の判決理由の論理的矛盾を指摘もしているが、それ以上に、この判決の意味は、認知症高齢者のケアをする意欲を挫くものだとして、社会感覚を欠き、社会的に無責任なものだと言う。

もっとも、法の不備は国会の責任であると思うから、名古屋高裁の判断も責められないように思う(著者も最高裁の判断は意外だと思ったのではないだろうか)。


行政の裁量範囲は限られるし、裁判所の判断が超法規的になれるわけはない。
しかし、法律の不備を具体的に調査し法案にできるのは行政だろうし、裁判所にも法律の不備=国会の不作為を指摘する権能があっても良いのではないだろうか。

本書を読んで、法律家というのは、裁判官や弁護士とは違うんだと感じ入った。

ただ、法律家の問題意識を政治に反映する仕組みが機能していないような気がする。
それは政治・政党の仕事だと思うんだけれど。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

Gallery
検索フォーム

⇒記事一覧

プロフィール

六二郎。六二郎。


定年退職
苦しい家計の足しに再就職
=いつクビになってもええねん
 言うたもん勝ちや!のブログ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
アーカイブ
カテゴリ
タグ

ITガジェット 書評 マイナンバー Audio/Visual 

リンク
現在の閲覧者数
聞いたもん