フジツボ

NUMERATI_cover.jpg スティーヴン・ベイカー「ニューメラティ ビッグデータの開拓者たち」という本がある。

"ニューメラティ(numerati)"とは、聞き慣れない(というか見慣れない)言葉だけれど、元々は"nume(rate)(lite)rati"に由来し、"数学が得意な学者"のことで、昨今は、"財テクのやり手"の意で使われるのだそうだ。

サブタイトルのとおり、ビッグデータの意義(技術的解説ではなくて、その効果、活用場面の説明)が中心になっている。
ビッグデータについての、私なりの理解は、

狙う母集団についてのとりとめない(と思われる)データがあり、一方で、抽出集団のとりとめなくないデータがあるとき、抽出集団のこのとりとめなくないデータを使って推定したい母集団の性質を関連付け、次に母集団の性質をとりとめないデータから推定する

といったもの。
昔は多変量解析の手法であるクラスター分析とかをベースにしながら、変数のとりかたについて、さまざまな試行錯誤を大量・自動的に行うようなものではないだろうかと、まったく実態を知らないど素人である私は思っている。数学というよりは、どういう試行をコンピュータにさせるのかという、経験知が有用なんだろうと思っている。

ということで、この本についての感想や解説はまた機会があればやってもよいけれど、今日は、この本のなかで紹介されていた話を一つだけ取り出す。
それが「フジツボ」という言葉。長くなるけれど引用させてもらう。
経営者にとってもっとも不愉快な買い物客は、「フジツボ」と呼ばれている。この生物にたとえたのは、マーケティングのコンサルタントでもあるコネチカット大学のV.クマール教授だ。小売業者にとって、フジツボほどいやな顧客はいない。この連中は、切り取った割引券を手に、店舗から店舗へと車で乗りつけて、大幅に値引きされる商品だけを買っていく。船底に付着したフジツボのように、他人まかせに動きまわる。小売業者の利益にならないどころか、損失をもたらすこともわかってきた。
身に覚えのある人も多いに違いない。

SeepockenMiesmuscheln_Galicien2005.jpg さらに続けて、
全員が同じように扱われると、フジツボばかりが得をする。好機が独占されてしまい、ふつうの人々にまわってこない。だが、いまや小売業者はフジツボを識別するだけでなく、差別待遇を与える手段も得ようとしている。このような手段が実行に移されたとき、もちろん、はじめに気づくのは当のフジツボだ。連中は本能的に油断がない。そして、この種類の差別には、間違いなく訴訟で対抗するだろう。2005年、映画のDVDをオンラインで貸し出すネットフリックスが、約600万人の会員から集団訴訟を起こされた。その理由は、もっともよく借りる顧客がDVDを受け取るまでに、平均よりも長い時間がかかっていたことだ。映画の熱狂的なファンは、レンタル回数に制限のない月額17.99ドルの会費を払い、可能な限り多くの映画を見ようとした。つまり、DVDが到着した日に1本か2本の映画を観て、翌朝に急いで送り返すのだ。

ほかに、「チョウ」という顧客類型もある。
ときどき店舗にふらりとあらわれ、散財をしていくが、何か月あるいは何年にもわたって姿を見せない。まったく当てにならないので、むやみにかまっても徒労に終わる。「チョウを追いかけてはいけません」とクマールは警告する。

これらは昔から、経営者がリアル店舗において見出した顧客類型だと思うから、ビッグデータの活用によってこうした類型があぶりだされたわけではないだろう。
おそらく、多くの店が並ぶネットショッピングモールにおいて、複数店舗をわたりあるくユーザーを分析するような場合にビッグデータが利用されるのだろう。

で、やっぱりモール側が、客によって対応を変えるのはどこまでできるのだろう。
それが「抽選であなたが選ばれました」式の特典付与(客の差別ではない、あくまで抽選)になっているのかもしれない。

ただし特典内容によっては、景表法違反になるかもしれないが。


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