マイナンバーカードの普及

「日経コンピュータ」7月7日号に、「申請ペースが10分の1に鈍化 マイナンバーカード普及正念場」という記事が掲載されていた。

カード発行にあたってのトラブル続きで、そもそも発行事務が滞りがち(6月21日時点で、申請1062万枚に対し、交付済565万枚)ということもあるが、3000万枚の発行を予定していて、2017年度には6000万枚を目指すということだが、どうも実現がアヤシイということらしい。
MynumberCard_ICchip.jpg

そこで、そのためにカードの利便性をアピールするとして、マイナンバーカードを使って、コンビニでのチケット販売・チケットレスエントリーができるようにする、とか、民間カードのポイントをマイナンバーカードで利用できる、とか、JPKIで契約書が作成できるとか、いろいろ考えているようだ。

しかし、私は思うのだ、こんな機能はいらないんじゃないか。
一方でマイナンバーを腫物扱いしておいて、今度はカード1枚でなんでもできると便利でしょう、と考える事自体が間違っていると思うのだ。それに、カードを利用する場合は、カードの使い分けも考えているのが普通じゃないだろうか。

もちろん私も1枚にしてもらいたいものはいくつもある。

たとえば、電車の定期券。私はJRとK鉄を利用するが、JRはICOCAで、K鉄は磁気カードである。ICOCAは分割定期(2区間に分けて購入することで安くなる)なので、K鉄乗継扱いはできない。一方、K鉄をPITAPAなどにすると、2枚のIC定期券を1つのカードケースに入れていると誤作動を起こす。
(JRの通し区間とK鉄の連絡定期にして、料金だけJR分割計算を適用すれば良いのだけれど。)
楽天カードはEdy付きだが、コンビニで使う時ローソンではポイントがつかない


こう書けば1枚にできたら素晴らしいことはたくさんありそうだ。
しかし、それがマイナンバーカードでなければならない理由は全くない

そうした利便性の提供は、民間サービスとして提供すれば良いのである。
身分証明書という意義を持ち、絶対に二重発行を認めないマイナンバーカードを使っていたら、間違いなく、カードの有効期限が切り替わるときには困ったことがおきる。

クレジットカードが期限切れ前に新しいカードを送ってきて、前のカードは自身で破砕してくださいというようなことが、マイナンバーカードでできるわけがない。

マイナンバーカードが持つ本人証明機能をつかってチケットレスエントリーなんて、他人に貸せないじゃないか(貸しちゃいけないサービスもあるだろうけど、そうでないものだってあるだろう)。

以前、JPKIの普及が問題になったとき、私はメール証明書も付けたらどうかと思ったことがある。
ただ、これも浅知恵であった。「住所が入っている証明書を使うことは立場上無理」と弁護士の先生がおっしゃっていたから。
それより、国民が普段使う電子証明書(そんなものが必要かが実はアヤシイのだが)は、民間認証事業者が発行するものを使うという方が真っ当である。民間がそうした電子証明書を発行するときに、本人確認をJPKIでやれば良いとするぐらいだろう。

また、通常の民間サービスでは、最初にそのサービスの利用者と契約する場合は、身元がしっかりしていなければならないとしても、その後、住所が変わろうとも基本的にはサービスの継続には問題はなく、あらためて身元証明を求めることはない。もちろん事務的に住所変更届が必要な場合もあるだろうけれど、カード自体を無効にするなんてことはない。

前にも書いた覚えがあるが、運転免許証は住所が変わっても有効である(速やかな住所変更届は必要だけれど)。アタリマエだ、住所が変わったら運転技量として求められることが変わるわけではない(もしそうなら運転してよい都道府県を指定しないと理屈が通らない)。


マイナンバーカードは公的な証明で、住所その他の確認ができるから、民間事業者が安心して使える、冗談でしょ。民間サービスは住民票を信用してやってるわけじゃない。サービス提供者は自身の責任で相手を信頼するのである。

最初なにもない状態なら住民票で実在確認する意味もあるだろうが、信頼できる相手かどうかは、利用記録その他のデータから判断されるもの。そのためには、クレジットカードがやってる信用照会みたいに、名寄せができることがのぞまれるけど、マイナンバーでそれをやるの?


bakkajanainonew.jpg 政府は、マイナンバーカードに無理に集約するという猿知恵ではなく、身分証明機能を基礎として(だからマイナンバーカードを持たない人は住民票等で証明すればよい)、新時代の情報サービスビジョンを示すべきである。

マイナンバーカードを使わなければ、
  • 利用制限が多く、管理が厳格なマイナンバーカードに制約されないサービスを実現できる
  • マイナンバーカードを持たない人にも、同じ利便性を提供することができる
  • 外国人観光客にも利便性を提供できる
  • 海外同種サービスと提携すれば外国でも使える
  • カード更新期の混乱を避けることができる
  • カードの技術規格はサービス提供者が決定できる。磁気ストライプも使えるだろう
そして、これを実現するのに税金の投入は不要である。
マイナンバーカードの多目的活用効果なるものをでっちあげる必要もなくなるはずだ。


今まで、政府がいろいろできる・使えるといって、実現(普及)したことなんかないでしょう?
いろいろできるというのは、「何に使うの?」に対するイイノガレでしかなかったでしょう?
同じ間違い(そして税金の無駄遣い)を何度、繰り返すつもりですか?
ちゃんと目的・効果を明確にして政策を立案し、制度・システムを設計してください。

イイノガレのために何千億円も使ってもらいたいとは考えてない。
マイナンバーにより税・年金事務の効率性・正確性が向上して、正しい事務が低いコストでできればそれで良いのです。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

Gallery
検索フォーム

⇒記事一覧

プロフィール

六二郎。六二郎。


定年退職
苦しい家計の足しに再就職
=いつクビになってもええねん
 言うたもん勝ちや!のブログ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
アーカイブ
カテゴリ
タグ

ITガジェット 書評 マイナンバー Audio/Visual 

リンク
現在の閲覧者数
聞いたもん