戦国の陣形

sengoku_no_jinkei.jpg 「司馬遼太郎が描かなかった幕末」に続いて、乃至政彦「戦国の陣形」を読んだ。

歴史ドキュメントや時代劇などで良く聞く「鶴翼の陣」とか「魚鱗の陣」というものが、精確にはどんなものなのか、それ以外にどのような陣形があるのか、基礎的な知識を得ようと思ったからである。

ところがである、この本には、そのようなものは漠然とした言葉があるだけで、陣形として運用されたことなどないというのが結論なのである。

曰く、
  • 「鶴翼の陣」とは広がった状態、「魚鱗の陣」とは固まった状態、という程度の意味しかない
  • かろうじて武田軍は、諸葛孔明の八陣なるものを、勝手に解釈して陣形らしきものを運用しようとした
    (これは山本勘助の提案だったが、信玄が勘助にどのようなものか聞いても勘助は本は読んだことがないので知らないと答えたという話である)
  • 陣形の基本とされる諸葛孔明の八陣というのも実はどんなものか全くわかっていない
  • 明治になって、西洋軍制が導入されるまで、我が国では陣形の運用はない
hachijin_jinkei.jpg なんとも身もふたもない結論なのであった。
文献には、鶴翼とか魚鱗とか、あるいは車懸りという語は出てくるが、これはその陣形をとったという積極的な運用としてではなくて、拡散していた、固まっていた、次々に交替した、という、戦闘の様子を事後的に表現しているものにすぎないというわけである。

陣形らしきものを運用して成功したのは、武田氏と戦った村上氏であると言う。ただ、これは窮鼠猫を噛むというようなところがあってとられたもののようで、これで痛い目にあった武田氏がその戦い方をとりいれたとも。
そういえば、長州奇兵隊のクーデターでは、奇兵隊は散兵戦(より正確にはゲリラ戦)で藩兵を打倒したような話である。こうしたものも戦国時代の記録では鶴翼の陣とされたのかもしれない。


「司馬遼太郎が書かなかった幕末」で、小説は、主人公を魅力的に書くために、事実の隠蔽、捏造などは当然行われるというわけだが、史実だと思われてきたことにも、存外、怪しいものもあるというわけである。

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