大阪メトロ

osaka_metro_train.jpg 大阪市の地下鉄が民営化されることになるようだ。
ネットの解説記事2018年「大阪メトロ」誕生へ、東京メトロの成功例を実現できるかに、民営化のねらいや課題について、丁寧に解説されている。

そもそも地下鉄民営化は、橋下市長時代から言われていたと思う。
ただ、民営=善、公営=悪と決めてかかっている風だったし、民営化すればいくらでも市外に延伸できるというような絵空事を言うから、信用できないという感じがしていた。

前述の解説記事では、民営化で良くなることとして、
  1. 付帯事業が自由にやれる
  2. 入札せずに随意契約で発注先を決められる
  3. 議会が承認した予算の裏付けがなくても臨機応変に事業ができる
  4. 人事異動が臨機応変にできる
といったことがあげられている。

まず1だけれど、多くの公営事業では本体ではできない事業を、関連会社を作ることで独占的利益を上げる方法をとってきたところが多い。ところがそれをすると身内企業優遇で、儲けを子会社にプールして本体の利益を低くしているという批判や、公共物なんだから、一般民間企業にも甘い汁を吸わせてくれという要望が出てくる。
民営化すれば、そういう迂回した事業や公共性への配慮(交通機関としての公共性は残る)をする必要はなくなるから、よりストレートに利益を上げることができる。

次に2についてだが、入札は受注希望者間で価格競争させることで効率的かつ公正な契約を結ぶという風に理解されているが、実は応札者が限られていて、他所から乱入することがなければ、必ずしも競争は発生しない。入札は面倒でかつ価格効果も限られているというわけである。
また、一般に民間企業は、コア事業以外については、特定のパートナーを選定して末永い協力関係を築く。これは、そうすることで実行コストはもちろん、その事務の管理コストまで下げることができるからと考えられる。

3についてはこの通りだろう。議会は普通、追認機関にすぎないわけだが、そのくせ説明責任を求める。議会を通じての市民への説明責任は、株主への説明責任にかわるから、事務コストはかなり下がる。
また、議員は地元への利益誘導を優先するから、不採算路線の新設などを求めてくる(地下鉄のない区をなくそう)から、これを防げれば経営上の利益は大きい。

4つめだが、これはやや微妙である。解雇は公務員身分でなくなってもそう簡単にはできないと考えられる。公務員給与はまだ年功序列が強いようだから、同様の仕事をしていても高齢者の方が高い給与をもらっていると推測されるから、このあたりの改革を進めるのだろう。当然、給料が下がる人が増えるから、そういう人達のモチベーションを保つことが重要になるだろう。

かつて、近鉄が奈良電を吸収したとき、奈良電社員と近鉄社員の待遇に一切差をつけず、奈良電社員の不安を一掃したという話がある。大阪メトロは民鉄との合併ではなく、自立民営化だから事情は違うけれど、大手民鉄との横並びあたりだろうか。
なお、公務員だから職業倫理が低いというようなイメージを持つ人もいるようだが、この点に関してはそうとは言い切れない。ある大学が大阪市内の自動車の運転マナーの調査をしたところ、民営バスは総じて運転マナーが良かったが、大阪市バスはかなり強引なマナーの悪い運転が目立ったという。強引な運転をしてもダイヤ通り運行しようという職業意識が高いようだ。


そして、何よりのメリットは、民営化すれば株式売却益が得られるということである。
あるいは、相互乗り入れしている路線、堺筋線(阪急)、中央線(近鉄)は、切り離して阪急、近鉄に売り払うなんてこともできそう(御堂筋線を北急に売ることはないと思う、逆に北急を吸収するほうがありそう)。

解説記事では懸念材料として、赤字の市バス事業をあげていた。
普通、民営化といえば、儲かるところだけ民営化して、お荷物は役所に残すのが常套手段のようだけれど、さすがにあからさまに市バスを切り捨てることはできない。

公営住宅の管理を民間委託している例が増えているが、普段の修繕や入居者サービスはするけれど、焦げ付いた家賃の回収のような面倒な仕事は委託範囲に含まれていないことが多いようだ。もちろん公的債権だから、これを放棄するためには議会の承認が必要だから、法制上委託範囲にはならないらしいが。

当面、事業を縮小しながら、いつつぶれてもよいように事業設計をしていくことになるだろう。

もう一つ気になるのが、現在は大阪地下鉄は167億円の黒字だが、一般会計からの補助金が104億円あるので、実質黒字は63億円ということである。ところが、民営化されれば固定資産税も発生する。軌道そのものは鉄道の公共性から減免されると考えられるが、それ以外の資産は課税対象となる。一説によればこれが50億円ぐらいになるという。

以前、ある地方自治体が公共施設の民営化を検討したとき、ある程度収支の見込みが立つような施設でも、固定資産税が賦課されるとどうも立ち行かないという話を聞いたことがある。


いずれにせよ、大阪市も儲かるし、関連事業も起ちあがる。利用者サービスも良くはなっても悪くなる要素は見当たらない。誰も反対する理屈はない。
反対するとしたら、新たな競争の場で勝ち組になれそうにない人か、今まで税金を納めて、投資や赤字を支えてきた過去の納税者だけだろう。

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