マイナンバーをどう理解するか(その3)~国民の「分散データベース」

前2回の記事で、マイナンバー制度の基本構造は、「番号管理システム」、「マイナンバー利用システム」、「マイナンバー報告システム」と3つに分けて考えることができるとした。
そして、こんな単純なものに、しかも利用機関、報告機関のシステム改修費を除いても何千億円もかかるというのが理解できないとも書いた。

発番管理システムのコストがやたら高いのではないかについては、以前の「名寄番号 その3 コスト」の記事にも書いた。
それを除いても、まだまだ高額の整備費用がかかるらしい。間違っているかもしれないが、「連携サーバー」という仕掛けと関連があるのかもしれない。(マイナンバー対応について、自治体の負担を極力小さくし、効率的に行うという理屈かもしれないが。)

初めてこの名前を聴いたとき、昨日の記事に書いたような、利用機関と報告機関の間の電文を仲介するものだと思った。
つまり、報告データを利用機関側から取りにいくために一時的に格納すること、利用機関からの照会電文を受け取って、市町村側がそれを読みだして応答メッセージを組み立てて一時的に置いておくというイメージである。
これなら通信処理の拡張版である。リクエスト/レスポンス仲介サーバーである。

この電文フォーマットを標準化するとともに、プッシュされるリクエストを、どういうタイミング処理するのか、人手で対応するなら、そのプロンプトをどう行うのか、そうした決め事を作れば良い。


ところが、実際は利用機関側が必要とするデータ項目の全てを、自治体内部にある当該事務システムのデータと同期させるものになっているらしい。
ただし、税や年金への報告は、連携サーバーを通さず、従来通りのCDや通信回線で行われるという。(行政用の細いネットワークを通すにはデータ量が多く、定期的に発生するからだろう)

このサーバーは全自治体が導入することになるが、その利用機会自体がどれほど頻繁にあるのか、大変怪しい。
普通の市町村なら、他機関・他市町村からの問い合わせはそう多くない。たいていは、転入者の転出元市町村に対して、所得状況や家の事情を聴き合わせるものである。

家の事情なんてのは、システム化できるようなものではないし、多くの他団体照会が所得状況なら、国税に問い合わせれば済むことである。今は簡単には教えてくれないのだろうけど、マイナンバーの導入に併せて、権限ある機関からの所得問い合わせを税当局がサービスすれば済むと思うのだけれど。


そこで国が作成している資料をあらためて見ると、「情報連携」という説明図がある。

johorenkei_mynumber.png

どうやら、連携サーバーというのは、必要なときに利用機関間の通信をするという方針ではなく、全体として分散データベースを成すように考えられているみたいだ。

つまり、マイナンバーを利用する自治体事務に共通するデータ項目について、全自治体共通のデータベース構造を設定し、各自治体はこのデータベースに各自治体内部のデータベースを同期させる、そうすることで、分散しているけれど、一体として利用できる「分散データベースシステム」とするわけだ。

物理的に2000カ所にも分散したデータベースを、一つのデータベースとして運用することは、可能だろうけれど疑問もある。

システムセンスの悪い日本のメーカーがやっているわけで、これだけ大規模なことをするなら、GoogleかAmazonに委託すれば良かったのではないかと思う。


見ようによっては、大事なデータが二重化されていて、情報の滅失対策にはなっていると言えないこともない。東日本大震災の経験もあるのかもしれない。
また、事務間でのデータの分離もなされ、事務を横断するような使い方は認めていないことだろう。

一方、本当に分散データベースとして運用できるなら、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを装備したサーバーがJ-LISあたりに整備しておけば、国は自治体に照会することなく、非定型的なデータ需要も満たすことができるようになる。
そういう説明はないようだけれど、そうしたサーバーは既にあるかもしれない(というか、ないとテストしにくいだろう)。

従来、マイナンバーはデータは個々の保有機関に分散していて、一元管理するようなものではないというような説明を聴かされたように思うのだけれど、文科系がいう「分散」はバラバラと同義であるが、情報処理の世界における「分散」とは、物理的に分かれていてもあたかも一つのものであるかのように扱えるという意味である。

このことについては、技術的可能性のみ指摘し、その是非についての私の判断は控えさせてもらう。
なお、この分散データベースがシステムとして破綻したとしても、昨日までに書いたように、比較的簡単かつ廉価な方法で、マイナンバーを運用でき、番号法の本来の目的を達成するには十分だろうと思う。

「番号管理」「利用機関」「報告機関」のシンプルな構造で考えた私が浅はかで、本当のねらいは「分散データベース」のほうにある、そういうことなのかもしれない。

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